第14話

5日目《中》
2,201
2024/08/31 06:53 更新
<善逸side>
宇髄さん……狼が、自分の部屋を戻ってから、俺達の中で話し合いが始まった。
胡蝶しのぶ
どうしますか?
私には、ポーカーで狼に勝てる気がしないのですが…。
しのぶさんの言う通りだった。
狼は、昨日のポーカーで、あっさりフルハウスを揃えていた。
対して俺達は、ブタだったり少しペアができただけだったりと初心者感丸出しだ。
まあ、狼はこのゲームを何度も経験しているだろうから、初めてプレイした俺達が勝つのは難しかったのかもしれないが。
甘露寺蜜璃
絶対に勝たないと、全滅しちゃうわ。
その通りだ。
今、狼以外の俺達の人数は4人。
投票で1人、襲撃で2人殺されたら、残りは1人。
ん?
我妻善逸
1人残るんですね。
悲鳴嶼行冥
そうだな……。
残りの人数が1人になっても、ゲームは続くのだろうか。
胡蝶しのぶ
とりあえず、それぞれで何か考えましょう。何か思いついたら、私の部屋の扉を叩いてください。
しのぶさんのその言葉で、俺達は解散した。
自分の部屋に戻っていく人、館の中を散策しようと食堂の方へ向かう人など、行き先は様々だ。
その中で俺は、ホールに留まっていた。
そして、誰もいなくなったことを確認してから、伯爵を呼んだ。
我妻善逸
伯爵。
伯爵
何だい?
ヒョッコリと2階のテラスに伯爵が現れる。
俺は、伯爵に最近噂で聞いた便利なものを所望した。
我妻善逸
ぱそこん・・・・って用意してもらえますか?
伯爵
ああ、構わないよ。
部屋に用意しておこう。
ぱそこん・・・・
調べれば何でも出てくる便利道具らしい。
他の鬼殺隊士たちとの任務の時、都会に行ったらそんなものが売られていた。
部屋に用意してくれるらしいから、俺は自分の部屋に戻った。
我妻善逸
あ……っ、
そこには既に、ぱそこん・・・・が机の上に用意されていた。
俺はその前に座って、検索のところに「人狼ゲーム」と慣れない手つきでなんとか打ち込む。
すると………、
『複数人の市民の中から、狼を当てるゲーム。参加人数によって、狼の数や占い師&騎士の有無が変わる。夜に投票を行い、最多得票者が吊られる。最終的に、市民が一人になる前に狼を全員当てられたら市民側の勝利。市民が残り1人になるまで狼を当てることができなければ、狼側の勝利となる。』
という、検索結果が出てきた。
我妻善逸
そっか。残り1人になれば、狼の勝ちなんだ……。
俺は無意識にそう呟き、検索のところに、今度は「ポーカー」と打ち込む。
『トランプで遊ぶゲームの1つ。まず、参加者は山から5枚カードを引く。それから、作る役を決め、いらないカードを選んで捨て、捨てた分だけ山から引く。1番点数の高い役を作った人の勝利。』
我妻善逸
………ん?
『参加者同士でいらないカードを交換する』なんて、どこにも書いていない。
伯爵が考えた特別なルールなのだろうか。
ポーカーの説明の下に、点数の高い役が順番に書かれていた。
今日のゲームで「市民」の俺達が狼にポーカーで勝たなければ、俺達の勝利はない。
イカサマをするしかない。
でも、イカサマの仕方がわからない。
検索してみても、曖昧で分かりづらい答えしか出てこなくて、俺は下唇を噛む。
何かないか、と部屋の中の箪笥たんすを漁っていると、トランプが出てきた。
もしも、これで俺がイカサマで1番点数の高いロイヤルストレートフラッシュを作ったとして、狼もロイヤルストレートフラッシュだったら、2人に同じ数の票が与えられるのだろうか。
もしそうなら、俺達が勝てる。
狼を当てて、もとのところに戻ることができる。
俺は、深く深呼吸して、人狼ゲームが始まってからずっと俯かせていた顔を上げた。
我妻善逸
…………よし。
俺がそう言うと同時に、放送がかかる。
伯爵
『ポーカーを始めるよ。ホールに集まってほしい。』
俺は使うトランプのカードを懐に忍ばせ、部屋を出た。
最後の戦いが、始まる。

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