<善逸side>
宇髄さん……狼が、自分の部屋を戻ってから、俺達の中で話し合いが始まった。
しのぶさんの言う通りだった。
狼は、昨日のポーカーで、あっさりフルハウスを揃えていた。
対して俺達は、ブタだったり少しペアができただけだったりと初心者感丸出しだ。
まあ、狼はこのゲームを何度も経験しているだろうから、初めてプレイした俺達が勝つのは難しかったのかもしれないが。
その通りだ。
今、狼以外の俺達の人数は4人。
投票で1人、襲撃で2人殺されたら、残りは1人。
ん?
残りの人数が1人になっても、ゲームは続くのだろうか。
しのぶさんのその言葉で、俺達は解散した。
自分の部屋に戻っていく人、館の中を散策しようと食堂の方へ向かう人など、行き先は様々だ。
その中で俺は、ホールに留まっていた。
そして、誰もいなくなったことを確認してから、伯爵を呼んだ。
ヒョッコリと2階のテラスに伯爵が現れる。
俺は、伯爵に最近噂で聞いた便利なものを所望した。
ぱそこん。
調べれば何でも出てくる便利道具らしい。
他の鬼殺隊士たちとの任務の時、都会に行ったらそんなものが売られていた。
部屋に用意してくれるらしいから、俺は自分の部屋に戻った。
そこには既に、ぱそこんが机の上に用意されていた。
俺はその前に座って、検索のところに「人狼ゲーム」と慣れない手つきでなんとか打ち込む。
すると………、
『複数人の市民の中から、狼を当てるゲーム。参加人数によって、狼の数や占い師&騎士の有無が変わる。夜に投票を行い、最多得票者が吊られる。最終的に、市民が一人になる前に狼を全員当てられたら市民側の勝利。市民が残り1人になるまで狼を当てることができなければ、狼側の勝利となる。』
という、検索結果が出てきた。
俺は無意識にそう呟き、検索のところに、今度は「ポーカー」と打ち込む。
『トランプで遊ぶゲームの1つ。まず、参加者は山から5枚カードを引く。それから、作る役を決め、いらないカードを選んで捨て、捨てた分だけ山から引く。1番点数の高い役を作った人の勝利。』
『参加者同士でいらないカードを交換する』なんて、どこにも書いていない。
伯爵が考えた特別なルールなのだろうか。
ポーカーの説明の下に、点数の高い役が順番に書かれていた。
今日のゲームで「市民」の俺達が狼にポーカーで勝たなければ、俺達の勝利はない。
イカサマをするしかない。
でも、イカサマの仕方がわからない。
検索してみても、曖昧で分かりづらい答えしか出てこなくて、俺は下唇を噛む。
何かないか、と部屋の中の箪笥を漁っていると、トランプが出てきた。
もしも、これで俺がイカサマで1番点数の高いロイヤルストレートフラッシュを作ったとして、狼もロイヤルストレートフラッシュだったら、2人に同じ数の票が与えられるのだろうか。
もしそうなら、俺達が勝てる。
狼を当てて、もとのところに戻ることができる。
俺は、深く深呼吸して、人狼ゲームが始まってからずっと俯かせていた顔を上げた。
俺がそう言うと同時に、放送がかかる。
俺は使うトランプのカードを懐に忍ばせ、部屋を出た。
最後の戦いが、始まる。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。