第10話

4日目《中》
2,569
2024/12/14 22:02 更新
<不死川side>
冨岡のダイイングメッセージのおかげで、狼が誰なのかわかった。
だが、それをみんなが信用してくれるかどうか。
この証拠を見せれば納得してくれるだろうか。
伯爵
『投票3時間前だけど、少し説明することがあるから、ホールに集まってほしい。』
どうしたのだろうか。
いつもは30分前に呼び出しをかけるのに、今日は3時間も前だ。
疑問に思いながら、俺は部屋を出てホールの定位置に着いた。
胡蝶しのぶ
あら、不死川さん。
説明することとは一体何でしょうね。
ホールには、既に胡蝶と我妻、そして宇髄がいて、他の人を待っていた。
不死川実弥
いい知らせだといいんだがなァ。
俺は胡蝶にそう返事をして、自分の座席につく。
しばらくして、全員が集まった。
伯爵
すまないね、こんな時間に呼び出して。
それと同時に、伯爵が2階のテラスに現れた。
悲鳴嶼行冥
構わない。説明したいこととは何だ?
悲鳴嶼さんが、いつも通り、威厳のある態度で伯爵の次の言葉を促す。
伯爵
今、狼が一匹当てられただろう?
だから、少しゲームをしたいと思ってね。
甘露寺蜜璃
ゲーム、ですか?
伯爵
そう、ポーカーは知っているかい?
ぽーかー?
聞き慣れない言葉に、俺達は首を傾げる。
その様子を見て、伯爵は別の質問を俺達にした。
伯爵
じゃあ、トランプは?
それなら聞いたことくらいはある。
最近流行っている紙の遊びだ。
伊黒小芭内
それくらいは。
黙っている悲鳴嶼さんに代わって、伊黒が答える。
その返事を聞いて、伯爵が満足げに笑った。
伯爵
今日からは、そのトランプを使って、ポーカー、というゲームをしてもらう。ルールは今説明してしまうけれど、それでもわからなかったときのために、その紙に書いておいたから、見たくなったら見てほしい。
伯爵の言葉と同時に、2階から1枚の紙がヒラヒラと落ちてくる。
伯爵
では、ルールを説明するね。

1人5枚、テーブルの上のトランプを取ってもらって、その内1枚、いらないものを前のくぼみにはめてほしい。そして、1人1回、誰かとシャッフル宣言してもらう。例えば、そうだね、不死川実弥くんが伊黒小芭内くんのいらないカードが欲しかった場合、「伊黒小芭内くんのカードと交換」と宣言するんだ。それを必ず1人1回ずつ行ってね。全員がシャッフルし終わったら、それぞれの手持ちカードを同時に公開するよ。役が大きかったほうが勝ち。
ここまでを一息に言った伯爵は、喉の調子を整えるように一度深呼吸した。
そして、スゥッと息を吸う。
伯爵
その勝った人は、その日だけ、1票投票したら、その1票が3票分になるよ。
伯爵の最後の言葉に、俺達は全員息を呑む。
ここで宇髄に勝たせてしまったら、今夜は襲撃が行われてしまう。
また2人、犠牲が出てしまう。
せっかく、冨岡が命がけでヒントを残してくれたのに。
勝たなければ。
絶対に勝たなければ!
伯爵
それでは、始めてほしい。
今日は初めてのゲームだから、勝った人の投票数は2票分にしておこう。
2票でも大きい。
その2票で、死ぬ人が変わるのかもしれないのだから。
伯爵が、パンパンと手を叩く。
その瞬間、目の前のテーブルが変わった。
俺達は今、7人だ。
だから、正七角形のテーブルになった。
そして、目の前には、カードを置くくぼみが。
どうしたらいいのか、と、それを呆然と見ていると、自動でカードが配られた。
5枚。
それと同時に、役が書かれている紙も配られた。
みんなを見ると、既にカードを窪みに置き終えており、未だに置いていない俺をじっと見ていた。
慌てて、役の書かれている紙と自分の手持ちカードを見比べ、いらないものを置いた。
だが、誰が何のカードを置いたのかわからないから、当然、誰とシャッフルするか決められるはずもなく_______、
伯爵
結果を発表するね。
胡蝶しのぶくん、甘露寺蜜璃くん、不死川実弥くんがブタ(役なし)。
我妻善逸くん、悲鳴嶼行冥くんがワンペア。
伊黒小芭内くんがツーペア。
宇随天元くんがフルハウスだね。
というわけで、今回の勝者は宇随天元くんだ。
あっさりと宇髄を勝たせてしまった。
伯爵
それでは、話し合いに入ってほしい。
だが、宇髄が怪しいことを言っておかなくては。
不死川実弥
俺は宇髄が怪しいと思う。
宇髄に先を越される前に、俺は単刀直入に言った。
宇髄天元
はーっ、証拠は?
宇髄は、飽きたように大きなため息を吐いた後、ダルそうにそう言った。
不死川実弥
これだ。
俺はすかさず、ずっと持っていた冨岡の羽織をみんなに見せた。
胡蝶しのぶ
冨岡さんの羽織、ですか。
胡蝶が近づいてきて、冨岡の羽織を手に取ってまじまじと見る。
その様子が気になったのか、伊黒と我妻、悲鳴嶼さんまで寄ってきた。
伊黒小芭内
…………っ!!
我妻善逸
これ……!
みんな気づいたのだろうか。
宇髄天元
これ、いつ縫ったんだぁ?
その中で1人、声を上げたのは宇髄だった。
宇髄天元
冨岡はずっと我妻や悲鳴嶼さんと一緒にいたんだろぉ?じゃあ、いつ縫ったんだよ。お前が狼押し付けるために縫ったんじゃねぇの?
その言葉に、みんなが俺を怪しむように見る。
不死川実弥
それは______、
何も言えない。
宇髄の反論は的確だ。
誰も、昨日冨岡が裁縫をしているところを見ていない。
というか、冨岡が裁縫ができるのかも怪しんでいる。
伯爵
投票の時間だよ。
伯爵が投票を急かす。
宇髄天元
俺は不死川が怪しいと思うがね。
俺は、何も言えなかった。
これじゃあ、俺が狼ですって言ってるようなモンなのに。
伯爵
開票するよ。
不死川実弥くん6票、宇随天元くん2票。最多得票者は、不死川実弥くんだ。………、残念、不死川実弥くんは狼ではない。みんな、各々の部屋に戻ってほしい。そして、狼を当てるのに失敗したから、今夜は襲撃が行われるよ。
みんなが部屋に戻っていく。
しばらくして、1つの部屋から出てきた人がいた。
宇髄天元
よお、不死川。
宇髄だった。
宇髄の姿が、メキメキと歪む。
冨岡義勇に、死んでからも邪魔されたわァ。そのせいで、俺が狼だってバレたじゃねぇかァ。
しゃがれたガラガラ声で、狼が言う。
思わず、俺はゴクリと唾を飲み込む。
じゃあな。
狼がそう言うのと同時に、肩に激痛が走った。
不死川実弥
があぁっ!!
ボリッガリッ、バリッ、と音を立てて骨を砕かれる。
身体のあちこちから血がしぶいた。
意識が遠くなる。
俺は、口元を歪めて笑みを作った。
不死川実弥
お前は、負けるぜェ。
それが、俺の最後の言葉だった。
薄れていく意識の中、俺は願った。
どうか、どうかこの残酷なデスゲームが、早く終わりますように。
もうこれ以上、犠牲が出ませんように。
と。

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