第48話

エピローグ 第六節 ――“ああ、君はようやく、僕のものです”
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2025/04/22 13:55 更新
誰もいない夜の社長室。
外の景色は、まるでこの世のものではないような暗闇に包まれていた。

フョードルは遮光布カーテンを閉め、鍵をかける。

「さあ、他の世界とお別れをしましょう」

ゆっくりと、彼女に手を差し伸べた。
まるで聖母像に跪くような仕草で、彼女の手を取る。

「これは君が望んだ牢獄です。
 誰も入って来られず、誰も君を救えない。
 けれど、僕はここにいます。ずっと、君のそばに」

手を握る指先が、ほんのわずかに力を帯びる。

「その痛みさえ、愛しいです」

彼女は、ゆっくりと目を閉じた。
そして、頷く。
『社長……どうか、私を壊さないでください』

その言葉に、フョードルは目を細めた。

「いいえ――壊しますとも。
 ですが、君が本当に壊れるとき、それは“幸福”のかたちでしょう」

彼は微笑む。

「君を再構築するのです。僕の理想の秘書として。僕だけの所有物として」

部屋に、静かな旋律が満ちた。

それは、愛と狂気が重なり合った、終焉の前奏曲。

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