■ kne . side
あの再会の日から 2週間ほど 経った 。
また会えるかもという 淡い期待を抱いて 、
僕は 3日に1回くらい 1つ先の駅で 降りていた 。
そして 今日も その駅で降りて 、
少し遠くなるが 歩いて 帰宅をしていた 。
その時 、ふと 目の前の公園に目が止まった 。
子供が1人 、大きな木の前で蹲っていたのだ 。
遠くからだが 不思議と分かった 。
2週間前のあの子だ 。… もちさんの、子供 。
僕は 少し 躊躇った 後 、
とりあえず その小さな背中のもとへと 歩いた 。
彼の前で 立ち止まり 、
僕自身も しゃがんで 目線を合わせる 。
目の前の小さな存在が 顔を上げた 。
… 覚えていてくれたのだろうか 。
不思議と嬉しくなって
彼の瞳を じっ と 見つめ ____ …
ドクンドクンと鼓動が騒ぎ出した 。
同じだったのだ 。この子の瞳の色が 。
他では見た事が無い 、自分と同じ 、
スカイグレーの透き通った瞳 。
この前 初めて会った時は
暗かったせいかよく見えなかったが 、
よくよく見てみれば 髪色も僕に近い色をしている 。
子供の言葉に 我に返り
後ろの大きな木を振り返ると
確かに 薄緑の風船が 木の幹に絡まっていた 。
僕が背伸びして 取って渡すと
ぱあっ と 嬉しそうに 微笑んでくれた 。
… 笑顔は 、やはり 母 … もちさん に似ている 。
笑顔で風船を見ている彼に
恐る恐る 声をかけると
その無邪気な笑顔は こちらに向けられた 。
緊張しながら そう問うてみる 。
… 今年で 、10歳 。
10年前に彼は産まれた 。
そして 僕は 10年間 、心に穴が空いたままだった 。
もしかすると …… この 空白の10年間 の 答え を 、
この子は 持っているのかもしれない 。
その年齢に 息を詰めた 。
深く沈んで もう上がって来れない と
思っていた 心が 底から 浮き上がる気がした 。
この子にこんな事を聞いては
ダメなんだと 分かってはいる 。
でも 、もう後悔するのは嫌だった 。
例え 拒否されようが 、責められようが 、
もう一度 自分は 、もちさん の手をつかみに行く 。
そう言って 子供は
ポケットから 何かを取りだした 。
それは 家の鍵とそれに付いているキーホルダーで、
キーホルダーの方には 見覚えがあった 。
落ち着いた大人っぽいデザインの剣を
モチーフにしている キーホルダー 。
それは間違いなく 、
もちさんと付き合って 僕が
初めて 渡した プレゼント だった 。
もう我慢しようと思ったって
涙が止まらなかった 。
人生で初めて … いや 、
彼と付き合った日ぶり に たくさん泣いた 。
僕は 10年前 、とんでもない間違いを
犯したのかもしれない 。
ずっと腑に落ちなかった 。
どうして もちさんの心が離れていったのか 。
本当にあの時 、好きな人が出来たのか 。
ずっと疑問が残って 、でもそれを無理やり信じて
「 誰か 」 の せいにして 生きるしか無かったのだ 。
あの時 、走り去る彼の手を掴んで 止めて 、
突き放されたって 例え罵られたって、
良い人間のフリなんかしなければよかった 。
本当に憎いのは 10年前の 自分だ 。
僕の背中を さする 、小さな愛しい手 。
それは小さくても とても 暖かくて 、
僕の心の穴を 徐々に 塞いでいってくれた 。
今すぐにでも抱きしめたい衝動を堪えて 、
僕は 顔を上げた 。
自分はまだ 、抱きしめる権利を 得ていないから 。
切なさ 、苦しさ 、申し訳なさ 。
そして 、比にならないほどの 喜び 。
これらを 自分にぶつけ 、
そして 今すぐ 彼に 伝えたい 。
僕がそう言うと
僕と同じ色の瞳を ぱちくり と 瞬かせ
やがて 彼とソックリな笑顔を浮かべた 。
こっちだよ ! と 言って
僕の手を引いてくれる 可愛らしい 子供 。
僕は その手を離さないように 、
優しく 堅く 握りしめた 。
______ ……
▋ knmc . side
洗濯物を干し終えて
洗面所で手を洗っていると 、
ふと 息子の声が 玄関から聞こえてきた 。
遊んでくると言ったにしては
随分 早い帰宅だ 。それに 、お客さん ?
仲良くしてもらっている
ご近所のおばさんさんだろうか ?
一応 鏡を見ながら サッ と 髪を整え
玄関へと向かう 。
何の気無し に 迎えてしまったが 、
玄関の中 、息子の隣に立っている その人物を見て
思わず 足は 一歩 後退った 。
突然のことに 息は上手く出来なくて 、
鼓動だけが 早鐘を打つ 。
切なくて 、苦しくなって堪らなくなるから 、
もう 会いたくはなかった 。
でも 、そんな 気持ちとは 裏腹に 、
彼の姿を恋しく想わない日なんて 無かったのだ 。
彼はそう言うと 、
懐かしい その スカイグレー の 瞳 で
僕を じっ と 見つめた 。
2話目 書いてて 気づいたのですが …
子供さん の名前 は のぞみ に しています が
isgmさんではありません !!
とある意味があって名付けたのですが
偶然 重なってしまっていました …🤐
でも 特に変わらないので
isgmさんのショタver. と
思ってくださっても 大丈夫です 🙏🏻
ちなみに 作者の好みは aknさん寄りですので
今回は 娘ではなく 息子に設定致しました 。
もしも 娘だったら
knmcさん 絶対 過保護レベル120ですね☺️
名前は ユイちゃん とか …
もちろん 息子でも 過保護な⚔️さんです ( 妄想 )












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!