第60話

宮世琉弥 過呼吸
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2024/02/23 04:38
最近、不安になることが多くなった。
いつもやってるような仕事なのに、周りの目が異様に気になっちゃって、変に周りを見ちゃって。
いつしか、楽しんでいた仕事に前向きになれなくなっていた。
……負担、になってしまっていた。
宮世琉弥
宮世琉弥
…行ってきまーす…!!
8LOOM
8LOOM
いってらっしゃーい!
でもこうやって元気に送ってくれるみんながいるから、支えになって。
気持ちは変わらないけど、少しだけでも、頑張ろうって思って続けてた。
それから数日経った。
相変わらず、ただ服しか纏っていない重だるい足で仕事に行く毎日。
今日は愁斗とドラマの撮影。
集中して、頑張らないと………。
宮世琉弥
宮世琉弥
……、
森愁斗
森愁斗
ドラマの撮影終わったら、オフだよね?
宮世琉弥
宮世琉弥
うん、そうだよ、!
今日は、愁斗と仕事に行く。
僕はなるべく違和感がないように接していた。
森愁斗
森愁斗
りゅーび、今日ゆっくりだね。笑
歩くスピードはいつもと変わらなかった。
仕事への行き渋り。
体って、ごまかせないんだな…。
宮世琉弥
宮世琉弥
最近のんびり行ってるんだよねー笑。……、
現場監督
あ、そこ違うよー、もっかいね!
今日は、一段と調子が悪いや。

これで3回目、なんで言われてすぐ出来ないのか自分にイライラしてきて、結局集中しきれない。
宮世琉弥
宮世琉弥
…すいませんっ…!
他の共演者さんもいるっていうのに…
迷惑かけるわけにはいかないんだから……






現場監督
カットっ!……、よし、おっけい!
宮世琉弥
宮世琉弥
…っふぅー……、
「終わった…」と、大きく息を吐いて心を落ち着かせる。
前は、落ち着く必要もなく気楽でいたのに…。
現場監督
りゅーびくん、ちょっと良いー?
一体、なんて言われるんだろうか。
あ、全然だめだよって、怒られるんだ。
行きたくないな…、でも…
宮世琉弥
宮世琉弥
…はーい!いま行きまーす、!
断る選択肢なんて、もとから無いんだから。
イエスマンにまわるだけ。
現場監督
りゅーびくんのお芝居、最近少し硬いんじゃない?
もっとリラックスしないとだよ。
やっぱり、そっか。
宮世琉弥
宮世琉弥
はい、リラックス…わかりました😊
作り物のえがおをならべて。
現場監督
うん。よろしく。
宮世琉弥
宮世琉弥
……、




森愁斗
森愁斗
りゅーびー?あれ…?
あ、愁斗が探してる…
早く、行かないと………、
宮世琉弥
宮世琉弥
しゅーと、行こ……、!
リラックス、してるように…。
森愁斗
森愁斗
うん…!、行こっか。😊
帰り道、
森愁斗
森愁斗
そういえば、今家に誰も居ないよね?
宮世琉弥
宮世琉弥
あぁ…そうだね、!
…そうだっけ……、
森愁斗
森愁斗
今日は夜までみんなお仕事らしいから、2人でゆっくりしてよっ!
あぁ…そっか。
宮世琉弥
宮世琉弥
うん、そうしよ、!
森愁斗
森愁斗
……、





今日は多分、どこか可笑しいんだと思う。
森愁斗
森愁斗
ただいまー
宮世琉弥
宮世琉弥
…ただい、ま…
家に帰ってきた安心感があったのはもちろんだったけど、薄暗くガラリとした家、「ただいま」と言ってもその場で響くだけの家を見て、なぜか怖くなった。
宮世琉弥
宮世琉弥
…はぁ……はぁ……、
森愁斗
森愁斗
…りゅーび……?
今まで「いってきます」を言っても、「ただいま」を言っても返ってきたあの声がなくて、
宮世琉弥
宮世琉弥
はぁ、はぁ、はぁ、…泣
森愁斗
森愁斗
りゅーび!!
今まで抑え込んでた思いがプツンっと弾けて、今まで意識せずにできた呼吸が、一気に出来なくなった。
宮世琉弥
宮世琉弥
はぁ、はぁ、はぁ、ひゅっ、はっはぁ…泣
森愁斗
森愁斗
りゅーび、りゅーび、目、合わせて!
仕事から帰ってきてすぐに、琉弥の呼吸が可笑しくなった。
過呼吸。
何が原因なのか分からなくて、とりあえず落ち着かせるために一生懸命声をかけてるんだけど、全然反応してくれない。
森愁斗
森愁斗
りゅーび!俺!しゅーとの目見て!
このままじゃやばいでしょ?
早く、俺と目を合わせてよ……、
宮世琉弥
宮世琉弥
はぁ、はぁ、しゅ…と…はぁ、はぁ、泣
宮世琉弥
宮世琉弥
はっ、はぁっ、はぁ、み、んな…はぁ、はぁ、ひゅっ…泣
みんなって…今居ないよ…?
森愁斗
森愁斗
……、ギュッ…。
これで落ち着くなんていう確証は無いけれど、僕が一番落ち着くのはハグ。
一か八か試してみる。
森愁斗
森愁斗
大丈夫、大丈夫。
りゅーび、ゆっくり息吐いてね。
ハグをしているから自然と耳元で話してるようになって、
宮世琉弥
宮世琉弥
はぁ、ふぅー、はぁ、ひゅっ、はぁ…泣
森愁斗
森愁斗
深呼吸ね。
吸ってー、吐いてー、
宮世琉弥
宮世琉弥
はぁ、ふぅー、はぁー、はぁ、はぁ…泣
だんだん落ち着いてきた。
宮世琉弥
宮世琉弥
はぁ……はぁ……、はぁ……、
森愁斗
森愁斗
良かった…、立てそう?
宮世琉弥
宮世琉弥
……フルフル。
過呼吸の状態が長引いちゃったから、手足がしびれてるのか、力が入らないみたい。
森愁斗
森愁斗
じゃあ運ぶね。
琉弥をリビングのソファに座らせて、リビングの電気をつけた。
長いので一旦切ります!

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