雨音side
壁に穴でも空いたんじゃないかと感じるほど大きい音が聞こえた
ここは、声は近くじゃないと聞こえないだけで音は聞こえる
だから、誰かが居るという合図をしたんだと思った
流石に聞こえないよね。
「いる!」
そして現在に至る……
彰くんと言う人は泣き目でこっちを見ていた
人に会えたからか、それ以外か。
分からなくて黙っていたら………
彰くんは泣いたんだ
自分自身では気づいていないようだけど……
頬に透明な雫が流れていた
咄嗟に出た言葉はその一言
その一言で彰くんは動揺した
何かあったんだな……
俺は少しでも彼が前向きになって欲しくて
………………
俺みたいになって欲しくなかったから
手を差し出した
彰くんは頷いた
"君"を、救ってあげるよ。
特別に…。
海side
今なんか聞こえたような、聞こえてないような……
今立っている目の前の分かれ道で困ってる
何故か?それはな…………
左方向には「こっちへ来たら?ね?」
右方向には「左に行くな、こっちに来い。」
本当にどうなってんだよ……
グイッ
服の袖引っ張んなや……💢
何こいつ……
あぁ苦手なんだよねこういうのー💢
離してくれないかなぁ?
絶対うそじゃん。
俺嘘つきとか大っ嫌いだから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!