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第3話

花吐き病(🈂️🧐)
43
2025/08/17 05:36 更新
サムライ翔side

smrisyo
コホッ
ここ最近咳で目が覚めることが増えた。今日も小さな咳と共に起床する。喉の調子が悪いのかもしれんし、今度病院にいこうと考えて体を起こして驚く。
smrisyo
なんや…これ
布団にいくつかの花が散らばっていた。動揺しているとまた咳が出た。
smrisyo
コホッコホッ
すると口から布団に元々散らばっていたのと同じ種類の花が出てきた。もしかして俺は花吐き病とやらになってしまったんじゃないか。だとしたら説明がつく。
最近よく出ていた咳は花吐き病の前症状のようなものだったのだろう。そして俺が片思いを拗らせている相手。それは間違いなくなろっちだ。
なろっちとは趣味があってすぐに仲良くなった。心友のはずやった。だけど、きちんとしてるのにふざけるのが好きなそのギャップ。大好きな音楽を語る時に見せる笑顔。雨の日の子供みたいなところ。色んな1面を知って惹かれていって気がつけば恋愛的に好きになっていた。
そしてそんななろっちには好きな人がいる。かなり前から薄々そうなんじゃないかとは思ってたんやけど、ちょっと前に一緒に出かけた時になろっちの口から直接聞いた。好きな人がいるんだと恥ずかしそうに笑ったなろっちの顔を鮮明に覚えている。
長年拗らせていた片思いはそれによってさらに拗れた。だから花吐き病になってしまったんやろう。
smrisyo
はぁ、どうすっかな。
花吐き病を完治させるには片思いの相手と両思いになるしかない。でもそんなの無理や。思いを伝える勇気なんてないし、仮に伝えたとして両思いになれるわけない。だけどなろっちにだけは絶対花吐き病になったとバレたくない。制吐剤とかあるんやろか。
とりあえず近くの薬局にきてみた。いつまた花を吐くかわからないからマスクを付けてきた。知り合いに合わんうちにはやく制吐剤を見つけてしまおうと足早に店内を歩く。
nry
あれ?翔ちゃんじゃん。
顔を上げなくても声だけでわかる。今1番会いたくない相手にあってしまった。
smrisyo
なろっち
nry
どうしたの?風邪?
smrisyo
そんなとこ。喉を痛めちゃってな。
nry
そっか。お大事にね
smrisyo
おん。探しとった薬なさそうやから帰るわ。またな
咳が出る前に立ち去ろうと会話を終わらせる。が間に合わなかった。なろっちに背を向けたところで咳が出た。
smrisyo
コホッコホッケホッ
nry
大丈夫?家まで送ろっか?
駆け寄ってきたなろっちの瞳が見開かれた。さっきより多く吐き出された花がマスクからはみ出ていた。
nry
翔ちゃんもしかして…花吐き病なの?
バレてしまった。花吐き病でないと誤魔化すのは無理があるだろう。でもせめて好きという気持ちだけは隠し通したい。誰への恋心を拗らせたってことにしたらええんやろ。なろっち以外の人を好きになったことなんてないのにな。
smrisyo
…まあな。
nry
僕にできることだったら協力するからなんでも言ってね
smrisyo
ありがとな
なら付き合って、だなんて言えるはずない。そもそもそれで付き合っても嬉しくない。
なろっちが送ってくれて帰宅した。気を使ってくれたのか聞いてこやんかったけど、俺に好きな人がいるって確実にバレたはずだ。どうすべきか決めきることができないまま1日が終わってしまった。
ずっと決断できないできるうちに症状がひどくなってきている。吐き出される花の量が増えてきた。外に出るのもしんどくなって引きこもる日々が続いた。グループの撮影にもしばらく参加できていない。
smrisyo
はぁ
思いため息を零しているとそれに不似合いな明るいチャイムの音が響いた。

ピンポーン



重い体を引きずって玄関に向かう。訪ねてきたのはなろっちだった。
nry
翔ちゃん、大丈夫?最近撮影にも出れてなくって症状悪化してるんじゃない?
smrisyo
あぁまあ、咳がひどくて撮影にならへんだけで元気やから気にせんといて。わざわざ来てくれてありがとな。
ほんまは咳が出るだけじゃなくって、体もだるいし重い。体力も減っている気がする。でもそれはなろっちには内緒。
nry
うそ。何年の付き合いだと思ってんのさ。
nry
咳が出るだけじゃないでしょ。僕からしたら翔ちゃんめちゃくちゃ弱って見えるよ。
smrisyo
やっぱなろっちには隠せへんか
自嘲混じりの声がこぼれる。
nry
隠してもわかっちゃうよ。なんたって僕たち管で繋がってるからね。ところで翔ちゃん、最近まともに食事してないでしょ。色々買ってきたからなんか作るよ。あがっていい?
smrisyo
そこまでバレとったんか。もちろんええよ。ありがとな。
なろっちはほんとによく気がつく。でも俺がなろっちに向けとる1番おっきな感情には気づいてくれへん。いっそ…気ぃついてくれたら楽なのにな。
伝えたり気が付かれたりしたら困らせるから、バレないようにしようってずっとずっとそう思ってた。そうやって押さえ込んどった。でもやっぱり知って欲しいと思ってしまう。伝えたいと思ってしまう。だけど、キッチンで料理をしてくれているなろっちは俺に思いを寄せられているとは夢にも思っていないんやろうな。気がつくと俺はなろっちを抱きしめていた。
nry
わっ、びっくりした。どうしたの翔ちゃん?
smrisyo
なろっちはよく気がつくのに、1番おっきな感情には気がつかへんのやな。
nry
え?
smrisyo
なろっちのことが好きや。思ってへんかったやろ、俺に好かれてるなんて?
nry
…気づかなかった。すごい…嬉しい
smrisyo
え?
nry
僕も好きだよ。翔ちゃんのこと
smrisyo
…え?いやでも好きな人おるって言ってたやん
nry
前に遊びに行った時のこと?あれ翔ちゃんのことなんだけど
smrisyo
…マジか。あんなにショック受けて悩んでないで、もっとはやく好きやって伝えればよかったわ
nry
というか僕だって翔ちゃんが花吐き病になって心配だったのと同時に好きな人がいるんだって…ショックだったんだからね
smrisyo
なんやそれ。…なろっちほんまに可愛い
可愛すぎるなろっちを抱きしめる腕の力が強くなる。
nry
可愛くない///
照れて否定してくる姿がまた可愛くて、もっと照れさせてやろうと口を開いたところで咳が出た。
smrisyo
コホッコホッケホッ
nry
翔ちゃん大丈夫?
力が緩んだ俺の腕の拘束から抜け出したなろっちが心配そうにこちらを見つめている。
smrisyo
大丈夫。ほら見て
ついさっき咳と共に出てきた白銀の百合を手のひらに乗せてなろっちに見せる。
smrisyo
なろっちと両思いになれたから花吐き病が治ったんや。これは両思いになった時に吐く花
nry
それならよかった
smrisyo
なあなろっち
nry
なあに?
smrisyo
改めて…なろっちのことが好きです。俺と付き合ってくれますか?
nry
僕も…翔ちゃんのことが好きです。お願いします。

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