花岡side
丈くんの家で丈くんの帰りを待っとると、ピンポーンと音がした。
丈くん、鍵忘れたんかな。
それとも宅配?
モニターを覗くと、そこにいたのは。
私も丈くんも仲がいい、SixTONESの田中樹がいた。
丈くんが呼んだんかな。
そんなこと聞いとらんけど。
とりあえず待たせるのは悪いと思い、玄関を開けた。
リビングに通し、向かい合って座った。
2人が私から少し離れて、コソコソと話す。
すると樹が私のすぐ横に来て、耳元に口を寄せて。
SixTONESの曲は全部何度も聴いとるからわかる。
Imitation Rainのラップの一番最初や。
それだけで全てわかった。
なんで丈くんは樹を呼んだのか。
2人で何をコソコソ話しとったのか。
後ろから丈くんが私を抱きしめる。
でもそれはただのハグと違い、拘束みたいなもんで。
許可を得て樹の腕をギュッと掴む。
こうなったらもう耐えるしかない。
樹の吐息が耳に当たって、イヤホンで聴いた時より感じてしまう。
抵抗しても男の人の力には敵わない。
カーペットの上に押し倒された。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。