あなたの下の名前side
今まで頭の中にこべりついていた不可解な不安がたった今、はっきりした.
体育祭後に感じたほんの少しの違和感も.
普段からクラスメイトと自分の距離があったことも.
全部全部これだったのだろうか.
『それは、』
それはさ、荼毘.
聞いたって意味はない.
自分の首を絞めることくらい分かってる.
『両親が人殺しだから?私が信用も信頼もされてなかったししなかったから?』
『それとも貴方たちが仕向けたの?』
目に溜まる液体は荼毘のせいで拭えない.
荼毘「理由はなァ. 最初と最後.」
「親が理由で昔からいるヒーローは信じてくれない.」
「他の奴らは全部俺たちが仕向けた.」
『どうやって...』
荼毘「うちには血を飲めばその血の持ち主の容姿をそのまま真似できる奴がいる.」
「俺が捕まえた時に足に指したアレで採血して使った.」
「あとはそいつが崖上で生徒の目に入るように黒霧のゲートに入る所を見せれば終わりだ.」
「でもなあ変じゃねえか?」
「一緒に生活してきたお友達をこんな一瞬の出来事でヴィラン扱いにするような奴ら.」
「親を殺して自分までも狙ってくるようなヒーロー共.」
「お前が戻るメリットとデメリットの差は明らかだと思うけどな.」
そう言って荼毘は押し倒していた手を解いた.
上半身を起こして考える.
私が戻ればヴィラン連合のメンバーも筒抜けになってヒーローが有利になる.
でもそれ以外のメリットってあるのだろうか.
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈