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第1話

1章 ただいま、我が国
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2023/05/30 09:41 更新
ゆずき
ゆずき
…ふぅ、着いた…
ゆずき
ゆずき
懐かしいなぁ…何時ぶりかな…
 久々に帰ってきた我が国に、ゆずきは安堵する。
傷だらけの身体には、段々と力が漲り、彼女の糧となる。
友人は、自分のことを覚えているだろうか。
隠しておいたほうが良いだろうか。
そんなことを考えながら、ゆずきはゆっくりと辺りを見渡す。
その時だった。
トントン
お前、見慣れない顔やな。他国のもんか?
ゆずき
ゆずき
ふぁっ!?
トントン
なんや、そんなに驚くことか?
ゆずき
ゆずき
い、いや…だって急に来るんだもん…
トントン
…俺はトントンや。あんた、名前は?
トン、トン…!?

彼は、ゆずきの友人、トントンであった。
覚えていないのか、はたまた気づかないだけなのか、ゆずきのことはわからないようだ。
ゆずき
ゆずき
お、俺…?
トントン
ん、そうやけど。あんさん以外おらんやろ
ゆずき
ゆずき
俺は…えっと、そら!藍澤 そら!
トントン
そらか。てか、お前さん酷い怪我やなぁ、大丈夫なんか?
ど、どうしよ、咄嗟に嘘ついてもうたやん…!!

ゆずきは何故か、トントンに対して別人として名乗ってしまったが、彼は信じたようだった。
ゆずき
ゆずき
だ、大丈夫だよ、このくらい。
10年くらい森に暮らしとったしw
トントン
…10年、かぁ…。あいつ、元気しとるかな…
ゆずき
ゆずき
あいつ、ね…(ボソッ
トントン
ん?なんか言ったか?
ゆずき
ゆずき
いや、言ってないで!気のせいやろ!
トントンの言う、「あいつ」とは、きっとゆずきのことだろう。
なんだか申し訳ない気もしたが、今更言うわけにはいかない。
もう少し経ってから話そう。
トントン
そうか?…まあええわ。とりあえず、お前は今すぐに治療せな。うちの城に医務室があるんや、そこに行くで。
医務室か…え、医務室!?それって確か…!

ゆずきの覚えている限りだと、医務室は昔から彼女の友人、ロボロの一族が担当しているはずだ。
もしかすると、ロボロもいるかもしれない。
彼ならきっと、「藍澤 そら」の正体にも、すぐに気がついてしまうだろう。
ゆずき
ゆずき
大丈夫やで!?全然平気やし!
トントン
いや、めちゃくちゃ辛そうやないかw念には念を入れて、さっさと行くで
ゆずき
ゆずき
えぇー…
コンコン…
ドアをノックする音が響く。
中から聞こえた声は、聞き覚えのある低めの声だった。

ロボロだ…!トントンに嘘をついたとはバレたくない…!
ロボロ
はーい、どうぞー
トントン
ロボロー、こいつ、怪我しとるみたいやから、手当してやってくれんか?
ロボロ
はー…ん?お前ゆz…トントン1回廊下に出とってくれへんか?
思いっきり睨みつけると、ロボロは察したようにトントンに外に出るよう促す。
トントン
ん、了解。
ゆずき
ゆずき
…出たな。
ロボロ
…で?
ゆずき
ゆずき
いや、で?とはw
ロボロ
だから、大丈夫なんか、ゆずき
ゆずき
ゆずき
…あーあ、やーっぱお前にはバレるか、ロボロw
ロボロ
なんや、やっぱり隠しとったんかw
ゆずき
ゆずき
いやー、まあ、ドッキリ的な?w
ロボロ
相変わらずやなぁ、お前はw
ゆずき
ゆずき
ふふん、そうだろう?w
ロボロ
…で、どこに居ったん?
ゆずき
ゆずき
えっとねぇ、隣の星遊協奏国の、星見が丘って森w
ロボロ
隣国かいwそりゃ見つからんわけやwww
ゆずき
ゆずき
え、探しとったん?
ロボロ
ったり前やろ、ほんとに、心配したんやで?
ゆずき
ゆずき
もうー、心配なんて、そんな大袈裟、な…
ロボロの目は、真剣だった。
本気で、心配していたのだ、ゆずきのことを。
ゆずき
ゆずき
…ごめん。
ロボロ
ええんや、もうこうして帰ってきたんやから!
ゆずき
ゆずき
ありがとな
ロボロ
ん、お礼は治療してから、な?w
ゆずき
ゆずき
あっ、そうやん!しっかり頼むで?
ロボロ
わかっとるって、いくつやと思っとるんw
ワイワイしながら、無事に治療は終わった。
10年前は下手で、苦手だった治療も、今ではすっかり上手くなっている。
―何時の頃だろうか。昔、木から落ちて骨折したことがある。その時、ロボロは不慣れながらも、必死に手当してくれた。どれだけ下手で、どれだけ遅くても、ゆずきにはロボロの優しさが嬉しかった。
トントン
…おーい、終わったかぁ?
ロボロ
ん、大丈夫や!入ってええでー!
トントン
包帯だらけやんけw
ゆずき
ゆずき
仕方ないやろ、森の中は危険なんやで?w
ロボロ
まぁー、治りそうやしええやんw
トントン
まあ、もう夕方やし帰るで。そらは城に泊まっていけや!
ロボロ
それやったら、客室やなくて王室に入れたら?あそこ使わなすぎてもあれやし。
ゆずき
ゆずき
王室か…懐かし…(ボソッ
トントン
なんか言ったか?
ゆずき
ゆずき
なーんもないっ!
トントン
まあ、そのアイデアはええな。今日は王室に泊まっていきーや
ゆずき
ゆずき
おー、なんか豪華でええな!w
ロボロ
とりあえず、もう行けや。あと、トントンはちょっと残ってくれん?
トントン
オーケイ
ゆずき
ゆずき
じゃ、また明日ー
ゆずき
ゆずき
―――ふぅ…久々やなぁ…何時ぶりかなぁ、王室。
城を出てからもう10年も、当たり前のように行き来していたここに入っていなかった。
安心して涙が出そうになるのを抑えながら、ゆずきは部屋を見回す。
ゆずき
ゆずき
変わらへんなぁ…
ゆずき
ゆずき
位置も何も変わらん…懐かしいなぁ…
___________________________一方その頃――
医務室に残されたトントンは、ロボロに話があるから、と待たされていた。
トントン
トントン
どしたん、わざわざ呼び止めて。
珍しいな…こいつ大体メールで送ってくるのに…
ロボロ
…あのさ
トントン
トントン
ん?
ロボロ
あいつ、誰やと思う?
トントン
トントン
誰って…そうか、お前は知らへんのか。あいつな、「藍澤 そら」っいうらしいで
ロボロ
…お前、気づいてへんの?
トントン
トントン
何の話やねんw
トントン
トントン
俺に理解を求むなw
ロボロ
…あいつ、ゆずきやけど。
トントン
トントン
…は?
トントン
トントン
いや…え?あの、城から逃げ出したあいつか?
ロボロ
…ああ。立華 ゆずきや。
トントン
トントン
嘘やろ…そんな…
ロボロ
…信じられへんかもな。でも、全て事実や。
トントン
トントン
…った…
ロボロ
ん?
トントン
トントン
よかったぁ…無事で良かった…
ロボロ
トントン…
トントンは、ただひたすらに涙を流した。
友人の無事を確認したことで、安心したのだろう。
ロボロも、涙は流さないものの、心の内はトントンと同じくらい安心していた。
この晩、二人は真実を知った。そして、ゆずきという少女、彼女のために涙を流したのだった―――――――

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