娘が出来たんだ
構いたい気持ちも分からなくはない
実際、お兄ちゃんにはかまって欲しかった
そう言ってお母さん達の背中を見守る
無意識に零れる言葉
さとみさんからは一緒に寝てもいいって言われたらしい
でも…高校生の男女が一緒に寝る…?
結局、リビングでしばらく過ごすことにした
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💗さとみside💗
"一緒に寝れるよな?"
そんな圧から「無理」なんて言えるわけもなく首を縦に振る
俺は高校3年生だし、今日出来た妹は高校1年生と聞いた
変な感情を抱くとかそんなんじゃない
ただ、同年代の女と寝るというのが嫌なだけ
とりあえず親友のころんに電話を入れた
妹の話をしながらゲームをする
深夜3時半を回って空が傾き始めた頃
俺は不意に気が付いた
「兄らしくなってんじゃん?」
なんて馬鹿にされる
とりあえずイヤホンを外して1階に降りる
体育座りとか中学校以来しか見てないわ
オロオロとして会話にならない
コーヒーを取りに行くと手を掴まれ引き止められる
我慢するぐらいなら言えばいいのに
ころんを待たせてるし2階に戻ろうと廊下に出ると後ろから声が聞こえてくる
「ごめんなさい」と泣き声
後ろを振り向いてしまった
気にしてる訳じゃない
………こいつとは仲良く出来ねぇ…
そう悟って2階に戻る
「どうだった?」と聞いてくるころん
イヤホンからはころんの怒鳴った声が聞こえてくる
んん…うるさ…
「いいじゃん!明日の17:00ね〜!」
相変わらず自由人&楽観的
まぁ…嫌いではないけど…
明日ゲームの続きすることになって電話は終了した
気になったわけじゃなく…コーヒーのカップを片付けに1階に行った
ソファで涙を流しながら寝る
とりあえず拭って毛布をかけた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!