第19話

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2025/08/07 23:47 更新












獪岳
 …俺は先生の期待に応えたい 
獪岳
 だけどたまにそれと同じくらい、鬼 
 殺隊士になりたくないって思うとき
 がある

 獪岳は立ち止まって呟く

 私にはその言葉の真意が分からなかった。だって
 獪岳は普段から桑島さんの期待に応えようと努力
 を怠らないのはもちろん、褒められても天狗にな
 ることはなかったから
あなた
 どうして? 

 どうしてそんなことを思うの?

 どうしてそんな大事な話を私にしてくれるの?

 どうして…そんなに悲しそうな目をするの?


 疑問が絶えない頭は今にもショートしてしまいそ
 うだ。そんな私をお構いなしに獪岳は言葉を続け
 た
獪岳
 分かんねぇ。ただ、お前と話してる
 といつか自分が死ぬより壮絶な状況 
 に置かれるような気がすんだよ
あなた
 な、何言ってるの!そんな縁起でも 
 ないこと言わないでよ…
獪岳
 ……冗談だ 

 否定の言葉より先に出たのは動揺だった。まさか
 獪岳本人が未来の( 鬼になって善逸に倒される )
 ことを察知してるなんて思いもしなかった。

 歯車が狂い始める予兆は感じなかった

 それなのに私と話してるとそう考えてしまうとい
 うことは、多分元はこの世界の住民ではなく原作
 に一切登場することがない私という存在が何か悪
 さをしているのだろう。
獪岳
 なんでテメェが悲しい顔すんだよ 
あなた
 ごめん、そんなつもりはなかった獪岳…!鬼にならないでね 
 んだけど…

 真実を告げようと口を開くと、この世界に落ちた
 最初の頃のように言葉がすり替わった。どうやら
 獪岳にこの世界のことを伝えることはできないよ
 うだ。
あなた
 ほら、その壮絶な状況ってもしかし 
 たら私との結婚かもしれないし…
あなた
 獪岳が鬼殺隊に入ったらその確率も 
 増えるでしょ?

 自身の心境を誤魔化すように冗談混じりに話した。
 ただ実際獪岳は雷の呼吸を使うので、このままい
 くと私の結婚相手に獪岳が選ばれる可能性は高か
 った。

 嘘は言っていないけど、自虐的なこの発言は自分
 で言ってて悲しくなる
獪岳
 はァ?ふざけたこと抜かしてん 
 じゃねぇよ
あなた
 そうだよね、、ごめ… 
獪岳
 死ぬよりお前と結婚するほうが何倍 
 もマシだろ
獪岳
 俺が言ってる壮絶な状況は、そんな 
 生温くて幸せなことじゃねぇよ。
 生き地獄かそれを上回る劣等感を抱
 えたまま死ぬような気がすんだよ
あなた
 えっ 

 私の裏返った声が獪岳の部屋に響く。

「 お前と結婚するくらいなら死んだほうがマシ 」
 と言われると思い先手を打ち謝ったのに、返って
 きた拍子抜けの言葉に私は戸惑いを隠せなかった。

 獪岳の方を見ると顔を赤くするでも耳を赤くする
 でもなく、至って冷静な顔色でいた。

 そっか、獪岳は私が好きだからそう言うのではな
 く、死ぬよりはお金持ちの雷家に婿入りするほう
 がいいと考えただけか…なんだ、、勘違いすると
 ころだった

 そう思ったところで、絆された感情に気づいて苦
 しくなった。
あなた
 それなら私と結婚してよ 

 考えるより先に出たその言葉に後悔を覚えたのは
 そのすぐ後だった。





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