「…俺さ、…俺たちはさ前世で双子だったって言ったらどうする?」
そんなバカげたことを言う隣の席に座ったアイツの目は至って真剣で出会ったばかりの俺に向かって言うような冗談ではないとわかった。
だからこそ、本当だった、もしくはアイツの頭がおかしいとしか説明がつかなくて。
なんでよりにもよって双子なんだろう。俺が嫌いで嫌いでしょうがない双子なんかなんだろう。
「ふざけたこと言ってんじゃねーよ」
「でも、…」
何かを続けようとしたアイツの言葉を俺は無視して机に突っ伏した。
こんな頭がおかしいやつの隣だなんて最悪だ。
せっかく新しい高校生活を楽しみにしていたのに、アイツのせいで台無しだ。
しばらくして諦めたようにアイツは俺に声をかけるのをやめた。
少し時間が経った時に担任が教室に入ってきた。
俺はもう入学式なんてしないで早く家に帰って1人になりたいと思いながら先生の話を聞いていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。