第18話

第2章:楽しみな時間
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2026/03/30 07:35 更新










朝、いつも通り花魁の隣で御膳を啄む。




愛花花魁
愛花花魁
そうだ、ジソンアには先に言うんだけど
ジソン
ジソン
うん?
愛花花魁
愛花花魁
僕ね、ヒョンジナに身請けされるの
ジソン
ジソン
っ、え…?





思わず、隣の花魁を見つめる。




箸を置いて、僕をしっかりと見つめる花魁の顔は、




幸せそうで、優しくて、




それでいて、




どこか、寂しそうな雰囲気をまとっていた。




ジソン
ジソン
…そっか…





素直に、喜べない僕がいる。




花魁が居なくなったら、僕は…。




愛花花魁
愛花花魁
ジソンア、ごめんね
ジソン
ジソン
っ…な、何で謝るの…ㅎ
愛花花魁
愛花花魁
だって、1人になっちゃうでしょ…?
ジソン
ジソン
…や、別に、…





1人でも大丈夫、




今まで、ずっと言い聞かせてた言葉は、




こういうときに限って、声に出せなくなる。




ジソン
ジソン




「行かないで。」




なんて、言えない。




花魁は、幸せを掴んだんだから。




僕が、邪魔して良いわけがない。




ジソン
ジソン
っ…お、おめでとう!祝言は、ちゃんと呼んでよ?ㅎㅎ





大丈夫、僕は、1人じゃない。




夜になれば、お兄さんが来てくれるから。




それに、楼主も居るし。




だから、大丈夫。




そう思って居たのに、




mob
た、っ…大変だ!
mob
楼主が、楼主が息をしてない!!





その言葉に、一気に背筋が凍った。




愛花花魁
愛花花魁
楼主さんが…?
ジソン
ジソン
っ…





箸を置いて、楼主の部屋まで走る。




心臓が忙しい。




柱にぶつかりながら、廊下を走り抜けて




階段を駆け上がる。




ジソン
ジソン
じいちゃんっ…





勢いよく開けた戸の先には、




青白い顔をして横たわる楼主と




立ち尽くす見世番。




ジソン
ジソン
っ…





いつもと何か違う。




静かすぎる。




ジソン
ジソン
じいちゃん…?





近づいて、そっと肩に触れる。




いつも、触れば届くはずの体温が、




今日はない。




ジソン
ジソン
…嘘だよ…。





一瞬で、分かってしまった。




でも、信じたくなくて、




ジソン
ジソン
ねぇ、起きてよ…





どれだけ返事がなくても、




楼主の肩を揺らす。




ジソン
ジソン
ねぇってばっ…!





いつもなら、笑いながら「辞めなさい」って言うのに。




ジソン
ジソン
お願い…返事、してっ…
mob
…残念ですが、楼主さんは…





お医者さんのその言葉が、やけに大きく聞こえた。




ジソン
ジソン
やだ…やだ……お願い…
ジソン
ジソン
1人に、しないでっ…




"楼主弔中のため、3日ほど閉めます。"




店の戸に貼ってある半紙を見たであろう客の




驚く声や残念がる声、題目を唱える声が




静かな帳場に響く。




意味もなく帳簿を開いては、楼主の字をゆっくりとなぞり続ける。




何度も、何度も、




視界が滲んで見えなくなる度に、




袖で乱暴に拭ってた、またなぞる。




愛花花魁
愛花花魁
ジソンア…
ジソン
ジソン
…ん、?
愛花花魁
愛花花魁
今日は、お客さん、来ないよ。
ジソン
ジソン
…うん。
愛花花魁
愛花花魁





分かってる。




それでも、座って居たい。




ここに居れば、1人じゃないと、思えるから。




しん…と静まり返る帳場に、小さな足音が近づいてくる。




mob
まなかだゆう…?
愛花花魁
愛花花魁
禿ちゃん…どうかした?
mob
おゆうはん、できたよ。
愛花花魁
愛花花魁
そう…一緒に行こうか。
mob
うん。
mob
はんくんは、おゆうはん、いかない?
愛花花魁
愛花花魁
…今は、そっとしてあげようね。
mob
はーい…。
愛花花魁
愛花花魁
…ジソンア、ゆっくりで良いから、落ち着いたら、おいで。





優しく言い聞かせてくれる花魁の言葉に




返事をすることが、できなかった。









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