…そう。 その通り
あの時の俺は孤児園に来たのがあなたの下の名前のお父さんだなんて知らなくて、 あなたの下の名前を必死に取り返そうとした。 そのせいでっ…
耕一くん悪くないから!
悔しそうに唇を噛む耕一くん。
…私が全部悪いんじゃん
愛する人を傷つけたこと、 たったひとりの実の父親を失ったこと。 私の心を折るには充分過ぎるほどだった。
ふたりは何も悪くない。 悪くないんだ…
三郎さんは苦しそうに言う。 まるで全て知っているようだ。
続けてください
…間一髪で車から逃れたふたりは警察に保護され、 孤児園に戻って来た。 そこには、 死に際を彷徨っている耕二郎が居た
耕二郎が最期に口にした言葉は、 我が子の名前である、「 あなたの下の名前」だった
っ…
だから、 あんなに苦しい中でも、 優しく、 温かく名前を呼ばれたのだと思った。
その後貴女はショック状態に陥り、 意識を失ってしまった
ショック状態…
…ここまでは覚えているか?
え、? なんで知って…
…貴女が記憶を失ったのは、 この事件のショックからではない。 意図的に子どもの頃の記憶が消されている
意図、 的…
…そうだよな? 和泉
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。