第2話

第2章「合わない生活」
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2026/08/26 15:40 更新


同居生活。

二日目。

朝6時30分。

柔太朗は目を覚ました。

🤍「……眠い」

隣のベッドを見る。

勇斗はまだ寝ている。

🤍「……」

昨日。

「明日は早いから寝坊しないで」

そう言っていたくせに。

🤍「佐野」

反応なし。

🤍「佐野、起きて」

🩷「……ん」

🤍「朝」

🩷「分かってる……」

🤍「起きてないじゃん」

🩷「あと五分」

🤍「昨日もそれ言ってた」

🩷「……」

また寝る。

柔太朗は。

ため息をついた。

🤍「……知らないからね」

ーーー

10分後。

🤍「佐野」

🩷「……」

🤍「佐野!」

🩷「ん……」

🤍「遅刻するよ」

勇斗が飛び起きる。

🩷「……何時?」

🤍「6時40分」

🩷「……」

時計を見る。

🩷「まだ余裕あるじゃん」

🤍「だから起きてって言ったの」

🩷「ありがとう」

🤍「別に」

勇斗は急いで準備を始める。

その様子を見ながら。

柔太朗は思った。

――朝から疲れる。

そして。

勇斗も。

同じことを思っていた。

――山中、細かい。

ーーー

朝食。

二人でテーブルにつく。

昨日買ったパン。

🤍「佐野」

🩷「何?」

🤍「それ俺の」

勇斗の手が止まる。

🩷「え?」

🤍「そのパン」

🩷「知らないよ」

🤍「袋に名前書いてある」

見ると。

小さく「柔」と書かれている。

🩷「……」

🤍「昨日、分けたじゃん」

🩷「……ごめん」

🤍「もういい」

🩷「怒ってる?」

🤍「怒ってない」

🩷「怒ってるじゃん」

🤍「怒ってない」

🩷「……」

🤍「……」

朝から。

微妙な空気になる。

ーーー

会社。

午前9時。

二人は同じ部署で仕事をしていた。

「佐野さん、山中さん。昨日の資料、確認しましたか?」

🩷「はい」

🤍「確認しました」

「では、この部分を今日中にお願いします」

二人とも。

仕事モードになる。

必要なことだけ話す。

🤍「この数字、前の資料と違う」

🩷「どこ?」

🤍「ここ」

🩷「……本当だ」

🤍「修正する?」

🩷「俺がやる」

🤍「分かった」

仕事では。

意外とスムーズだった。

プライベートより。

仕事のほうが。

まだ話しやすい。

ーーー

昼休み。

同期が二人のところへ来る。

「同居どう?」

🩷「最悪」

🤍「最悪」

また。

同時だった。

「……仲いいじゃん(笑)」

🩷「どこが?」

🤍「全然」

同期は笑いながら去っていった。

ーーー

午後。

仕事が終わる。

二人で社宅へ帰る。

玄関を開ける。

🤍「……疲れた」

🩷「俺も」

靴を脱ぐ。

すると。

勇斗が。

リビングの床に置かれた柔太朗のバッグを見る。

🩷「山中」

🤍「ん?」

🩷「バッグ、そこ置かないで」

🤍「なんで?」

🩷「邪魔」

🤍「あとで片付ける」

🩷「今やってよ」

🤍「今?」

🩷「うん」

🤍「……細かいな」

🩷「何?」

🤍「何でもない」

柔太朗がバッグを持つ。

少し強めに。

自分の部屋へ運んでいく。

ーーー

夕食。

今日は。

二人で簡単な料理を作ることになった。

🤍「何作る?」

🩷「カレーでいいんじゃない?」

🤍「俺、辛いの苦手」

🩷「じゃあ甘口」

🤍「それならいい」

二人で材料を切る。

最初は。

順調だった。

ところが。

🩷「山中、それ切り方違う」

🤍「え?」

🩷「大きすぎ」

🤍「別にいいじゃん」

🩷「火の通り方変わるから」

🤍「じゃあ佐野がやれば?」

🩷「……」

🤍「……」

また。

険悪。



鍋に材料を入れる。

二人とも。

無言。

しばらくして。

🤍「……」

🩷「……」

🤍「ごめん」

🩷「……俺も」

🤍「カレーくらいで喧嘩するの、馬鹿みたいだね」

🩷「うん」

少しだけ。

空気が柔らかくなる。

でも。

まだ。

仲良くなったわけじゃない。

ーーー

夜。

テレビを見る。

柔太朗はソファ。

勇斗は少し離れた椅子。

🤍「佐野」

🩷「何?」

🤍「音、大きくない?」

🩷「普通」

🤍「俺には大きい」

🩷「……」

勇斗がリモコンを取る。

音量を一つ下げる。

🤍「ありがとう」

🩷「別に」

しばらく。

二人ともテレビを見る。

会話はない。

でも。

昨日より。

少しだけ。

同じ空間にいることに慣れてきていた。

ーーー

午後11時。

寝る前。

柔太朗がベッドに入る。

🤍「佐野」

🩷「ん?」

🤍「明日、俺が先に起きるから」

🩷「分かった」

🤍「起こしてほしかったら言って」

🩷「……いや」

🤍「何?」

🩷「自分で起きる」

🤍「そっか」

電気を消す。

暗闇。

しばらくして。

🩷「……山中」

🤍「ん?」

🩷「今日のカレー」

🤍「うん」

🩷「普通にうまかった」

柔太朗が。

少し笑う。

🤍「……それはよかった」

🩷「おやすみ」

🤍「おやすみ」

二人とも。

相手の顔は見えない。

でも。

昨日より。

少しだけ。

声が柔らかかった。

まだ。

「嫌い」が消えたわけじゃない。

ただ。

ほんの少しだけ。

「嫌いなところしか知らない」から。

「知らないところがある」に。

変わり始めていた。

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