その時は 突然だった 。

　ホテルから出て 、また 逃避行を再開してから

　少したった頃 。俺たちを 捜索していた

　警察たちに 見つかった 。

　俺たちの体力は とっくのとうに 限界を 迎えていた

　何故か いつもより 蝉の声が うるさく聞こえる 。

　暫く 、と言うより 出発してからずっと

　水分を 取っていないせいで 視界が 歪む 。

　追っ手の怒号も だんだん 大きくなる 。

　でも 、そんな状況でも 、楽しい 。

　楽しい 。 わくわくする 。

　君も 、自然と笑みが 零れていた 。

　そう思っていたのも束の間 。

　行き止まりだ 。もう逃げられない 。

　嗚呼 。俺らの逃避行は ここで終わり みたいだ 。

　ふと君の方を見る 。

　君は ナイフを 自分の首に 当てていた 。

　やめてｯ 、それ以上はｯ  

　すぐそこまで聞こえる 、警察の声 。

　早く逃げなきゃ 、早く逃げなきゃなのにｯ

　それ以上先の 言葉は 聞きたくないはずなのに … 

　刹那 、目の前が 真っ赤に染まった 。

　君が … 君が 、首を切った 。

　こんなの 映画でしか見た事がない 。

　白昼夢を 見ているんじゃないかと 、

　自分を 疑った 。疑い続けた 。

 ︎︎︎︎                                                                             ︎︎︎                                                                             ︎︎︎                                                                             ︎︎︎                                                                             ︎︎︎                                                                             ︎︎︎                                                                             ︎

　気がついた時には 、俺は 捕まっていた 。

　ほとけの姿を 探しても 、何処にも 見当たらない 。