第12話

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2024/05/25 22:05 更新
国道という割には細い道から、両側に畑や田んぼが並ぶ道に入る
いつも吠えてくる犬から逃げるように走り、学校の柵を越え、校庭を走り抜ける。
その道が、いつも辰哉の家に行くルートだった
今はもう、左右にボウボウに草が生い茂り、生えてくる犬はもういない。
蓮は改めて3年という年月の長さを感じた。
阿部亮平
阿部亮平
着いたよ
蓮は外を見る。
三年分古びた木の表札には大きく「深澤今一」と書かれ、その下には「照、辰哉」と書かれている
蓮の心臓がバクバクする。
辰哉、、、。幼稚園からの幼馴染。でも今は、蓮を殺したいと思うほど憎んでいる。
阿部はインターホンを押す。しかし調子が悪いのか、音が鳴らない、阿部が何回かグイグイと押すと、やっとビーッという鈍い音が出た
少しすると、ベニヤが禿げてきたドアから人が出てくる。
蓮はその姿を見てビクッとした

、、、辰哉の、お母さんだ。

蓮が知っている辰哉のお母さんは、少し太めで優しかった。
眉が下がっているせいか、いつも困ったように見えた。幼稚園の時、辰哉のお母さんに「辰哉のママは、どうしていつも困っているの?」と聞いて
「みんなが可愛すぎるから、嬉しすぎて困ってるの」と答えてくれたことをよく覚えている。

しかし今の辰哉の母には昔の面影はなく、ふっくらしていた頬は削げ落ちている。
痩せたからか目が異様に大きく、まるで怪物のようだった。

辰哉の母は小さい声で、「どなた」と聞いた
阿部亮平
阿部亮平
初めまして。私、学校関係の者ですが
深澤照
深澤照
学校、、、?
阿部亮平
阿部亮平
今、倉山ニ中の生徒が、行方不明になっていまして。安藤さんと探しているんです。
深澤照
深澤照
あんどう、、、
辰哉の母はハッと目を開いた。顔が赤黒く染まっていく。今何か一言でも発したら、怒りが爆発してしまう、、、。
深澤照
深澤照
、、、それが、うちになんの関係があるのでしょうか
阿部亮平
阿部亮平
その件で、お宅の辰哉さんに合わせていただきたいと、、、
深澤照
深澤照
、、、何なの?何なの、あなた!?見ず知らずのくせに、失礼にも程があるでしょ!!
辰哉の母がついに切れた。蓮は恐怖で動けない。
辰哉の母は翔太の母と違って、怒った顔など見せたことがないからだ。
深澤照
深澤照
辰哉と会いたい!?その子が!?会ってどうするの!?まだ辰哉をいじめ足りない?辰哉をバカにしたりなかった!?あんた、辰哉のことなんだと思ってるの!!
阿部亮平
阿部亮平
違います。落ち着いてください深澤さん!
深澤照
深澤照
じゃあなんだっていうの!?いい?あんた達のせいで、辰哉はもう表に出られなくなったの!!
あんた達が仲良しのふりして辰哉をバカにして、辰哉の大切な気持ちを踏みにじったから!!
深澤照
深澤照
渡辺のとこの子が行方不明だって?ざまあみろ。バチが当たったんだ!人の子をバカにするような子に育てたから、渡辺の子にもその親にも、バチが当たったんだよ!!あんな子がどうなろうと、私は知ったこっちゃない。勝手に野垂れ死ねばいいんだ!!
阿部亮平
阿部亮平
深澤さん!!
阿部の言葉で、辰哉の母は罵声を切った。
目の前にいるかつて辰哉を笑っていじめていた少年は、震えている。
深澤照
深澤照
私は、辰哉を守り抜きます
息を整えながら、辰哉の母は言う
深澤照
深澤照
もう、辰哉にあんな辛い思いはさせない。
阿部亮平
阿部亮平
深澤さん、、、
深澤照
深澤照
蓮くん
ドアノブに手をかけながら、辰哉の母は肩越しに言った
深澤照
深澤照
あなたは、人間として最低なことをした。温厚な辰哉が殺したいと思うほどのことを。それを、忘れないで。一生。
返事をさせる間もなく、バタンとドアを思いっきり閉めた。
阿部亮平
阿部亮平
目黒さん、大丈夫?
阿部亮平
阿部亮平
今日は、もう帰ろっか
目黒蓮
目黒蓮
嫌、、、。俺、帰らない、、、
阿部亮平
阿部亮平
目黒さん?
目黒蓮
目黒蓮
俺、、、ちゃんと知らないといけないんだ。
俺たちが過去にしたこと、翔太がどうしていなくなったのかを、、、
投稿遅くなって申し訳ありませんでした!
あと5話くらいでこの小説完結すると思います!

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