口をついて出てしまった、信じられないような言葉。
自分自身でも驚きながら、それを悟られないようにいつもと変わらない笑みを浮かべポーカーフェイスを貫く。
ワガママを言う子供のように言えば、隣にいる彼から溜め息がこぼれる。
何度見てきたそんな姿さえ愛おしく感じてしまった。
ひとしきり見つめ合ったあと、今度は"故意に"押し倒される。
彼の顔色は何一つ変わらないが、耳の先がほんのり赤くなっている。
やはり夜伽は羞恥心がくすぐられるものなのだろう。
まぁメガネ君がこの行為に手練ているのも想像つかないけど。
首や腕、太もも…彼の優しくて痛いキスで全身が絆されてゆく。
くすぐったくて、心地が悪い。とは言いつつも悪い気はしない。変な感覚が全身を巡るだけ。
彼が鳴らすリップ音と、互いの息遣いだけが
しばらくの間、響いていた
散々優しく撫で回された後、もう私の身体は力が入らなくなっていた。
多分私は、彼と繋がるのが怖い。
痛みを感じることに対して怖いわけじゃない。
ただ、私が私じゃなくなってしまうような気がしてならないのだ。
そして知らなかった彼を知ることが、怖いのだと。
手の甲で自身の顔を覆えば、私の中を彼の物が貫く。
ゆっくりと私の最果てまで進んでいく。
痛くない、優しい手つき。
だけどやっぱり胸の奥がきりきりと痛んだ。
いちばん奥に彼の先がとん、と当たるだけで快感が身体中を巡り、力が入ってしまう。
息継ぎの間、何とか絞り出してそう答えれば私の中でそっと動き出すのが分かった。
目を見開き、懸命に止めようとするが動きは速くなる一方で。
波が一気に押し寄せてくるような、そんな快楽に飲み込まれガクガクと小刻みに震えてしまう。
助けを求めるように伸ばした片腕は簡単にベッドに押さえつけられた。
顔を逸らし乱れた呼吸を整えていると、彼の大きな身体が力なく横たわる私へと覆いかぶさった。
彼の体重が加わることで繋がった部分がより奥へ押し付けられ、声が漏れ出てしまう。
甘く低い声がいきなり耳元で鳴り、ビクリと反応させる。不意に中を思い切り締めてしまえば彼も声を漏らした。
それから満足するまで互いを求め合い、満たし合った。
何度果てたかは分からない。
その間、疲れていても私の中から彼の物が抜かれることはなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。