私の、役目…
私は生まれた時から己の歩む人生が決まっている
きっとこれは守らなければいけないものなのだろう
15になったら私は子を作るために
妖力の強い夫を見つけなければいけない
これは自信でも自慢でもなく事実である
緋喰は人間の中でも妖の中で数えたとしても
妖力も身体能力もトップレベルであり
陰陽師や退魔師などの界隈を
生まれたその瞬間からざわつかせた
何よりも、彼女はまだこの日3歳である
つまりは、脳の発達も早いのである
ここのところ母様に食事を抜かれている
どうやら私が嫌いらしい
でも何もしてないんだけどなぁ
この人は緋喰の乳母の葉五月さん
狐遙家でも指折りの妖力を持つ
何故乳母がそんな人なのかというと
緋喰の肉体は常に妖気を発しているため
一般人や並の妖力所持者は緋喰に触れると
衰弱してしまうので緋喰に触れるには
一定以上の妖力と体力が必要なのである
ちょうどこの1ヶ月は
葉五月さんが呪術師の調査に行っていた
バタバタ
葉五月さんは私に唯一優しい人
私はこの人のためにここにいる
私がいれば葉五月さんは嫌がらせで済む
狐遙 緋喰がいれば弱い人や強すぎる人が守られる
私がここにいることに意味がある
もし、私がいなくなったら…
ガラン
ガサゴソパカッ
スッ…(着物に触れる)
確かに、大丈夫っぽい?
着たら発動とかないよね…

シャンッ(鈴が鳴る)
スッ…シャンッ(身を回し鈴を鳴らす)
クルッ…シャンシャンッ(また回して鈴を鳴らす)
私はまだ五歳なのになんで神のための舞を
他人のためにしなきゃいけないんだ
まぁ、別に舞うのは嫌いじゃないからいいけれど
「公主」
なにか聞こえた?
「公主よ、迎えに来たぞ」
シャンッ
「我を忘れたか?」
「そうか、忘れてしまったか…」
「まぁ仕方がないな、そういう時もあろう」
「我は妖狐 汐亞」
コンコン
タッタッタッ
何故…
心の中も聞こえるんじゃん、やっぱり煩い
Have a good dream














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!