謙杜side
今日は2人揃ってオフ
最近お互い忙しくて
お休みが被ることがなかったから
僕は、今日の日をすごく楽しみにしていた。
昨日の夜、みっちーにたくさん愛してもらって
おかげさまで腰がちょっとダルい…
心配そうに僕を見つめる優しい瞳
2人して照れてしまって
おかしくて笑い合う
なんて幸せなんやろう…
時刻は昼下がり
人混みの中、バレないように気をつけながら
時計屋さんにやってきた
止まってしまった時計をお店の人に渡して
電池交換してもらったけど
僕の宝物の時計は、動かなかった。
むり。泣きそう。
みっちーからもらった大切な時計やのに…
僕が、あまりにも必死に頼むから
お店の人は少し驚いていた
お店の人も、みっちーも大丈夫って
言うてくれたけど
僕は不安で不安でしかたがなかった
止まった時計に、胸が詰まる。
何で止まってしまったんやろう。
絶対ぶつけたりしてないし
大切に扱ってたのにな…
僕には…相応しくないって事なんかな…
はっとした。
そうや。
忘れてた。
僕は、最低な奴やったんや。
みっちーの隣は相応しくないって
神様が言うてるのかも…
みっちーとのあったかい日々が幸せすぎて
忘れてしまいそうになるけど、
嘘をついたことも、みっちーを騙したことも
決して消えはしない。
みっちーが許してくれたとしても
その事実は変わらない。
そうか、わかった。
僕は、僕のことを許せていない
だから、こんなに
いつまでたっても不安なんや
本当は、こんなの許されないって、
こんなに幸せになっていいわけがないって、
僕自身が、心の奥で、ずっとそう思っている。
僕の心に暗い影が落ちる
きっともう、あの時計が動くことはない。
そんな気がした。
みっちーが楽屋で
スマホを見ながら眉間に皺を寄せていた
何見てるんやろう…
ちょっと気になっていると
高橋君がみっちーに話しかけた
そんな会話を聞いたのが3日前
それから今日まで
みっちーは何度も、同じように
眉間に皺を寄せて、スマホとにらめっこしていた。
何をずっと調べてるんやろう?
明日、聞いてみようかな…
そんな事を、なんとなく考えていた。
お風呂から上がると
みっちーがスマホを持ったまま
ソファーで寝落ちしていた。
ゴトッ
スマホがみっちーの手から滑り落ちた
不意に目に入ったスマホの画面を見て
僕の背筋は凍った
なんで?
どうして?
心臓が止まりそう。
みっちーは
住宅情報を調べていた。
検索条件の欄には
"単身"にチェックが入っていた
単身の部屋?なんで?
みっちー…1人で住むお家探してるの?
ここを、出ていくの?
え、僕は?
僕、ふられるの?
苦しくて、怖くて、どうしようもなくて、
僕は、何も見てないフリをした。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!