烏養のジャケットのポケットの中で烏養と手を握ったまま、観念して再び歩き始めた。
顔が熱くなるのを感じる。
しばらくすると冷たさと痛さで感覚がなかった指先が温まってきた。ほっこりする…。
じゃねぇーーーよーーー!!!!
なんで烏養と手を繋がなきゃいけねぇーんだっつぅーのー!!!!
私はまたあの日のように烏養のポケットから手を引っこ抜こうとした。
烏養がポケットの中でグッと強めに私の手を握り逃さなかった。
そう言って私に自分のタバコを口に差してきて、火をつけてくれた。
…烏養の匂いがする……。
そう言って烏養もタバコを吸い始めた。
2人分の煙がゆらゆらと空へ登っていく。
烏養はゲラゲラ笑った。
失礼な奴…中学の時も失礼な奴だったけど!
烏養はまた豪快に笑った。
ホントこの前から調子狂う…。
なんか、振り回されてる感っていうのかな。
私がひとりで勝手に空回ってるだけか…。
だから何ってわけじゃないんだけど。
一応さ、烏養は男で私は女だよ?
こんなことされたら普通に困惑するし…。
でも、烏養は平気でこういうことしてくるし。
私はそう言って烏養を見上げた。
烏養も私を見下ろし寒くて鼻の頭が赤くなった顔でニヤッと笑った。
そして、ふと立ち止まり、烏養に肩を掴まれて向き合わされた。
ビックリした…。
何を言われるのかと思ったけど、そんな今更…
私は思わずププっと笑ってしまった。
お互いに見つめあってニカッと笑った。
家路まで2人で笑いながら帰った。
枕元の時計を見るとまだ朝の6時だった。
あれ?いつもカーテン閉めて寝るのに開いてる。
うちのベランダで烏養がタバコを吸っていた…。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!