第352話

Episode350🐿️
1,332
2025/10/30 09:00 更新

ハン
ハン
この歌詞は……

あなたのレイヌナが、考えたの?

僕は、どうしても聞きたかった。

なぜこの歌詞にしたのか。

そしてあなたのレイヌナ、君に何があってこの歌詞を書いたのか……


作詞活動をしていて思うことは、歌詞はすべて自分に起こったこと、体験談とは限らない、ということ。

僕に関しては、体験もあるけど、ほとんどが想像で書いていることが多い。

でもなんでだろう。
この歌詞に出会ったときからずっと、この歌詞は息をしてるような気がしてたんだ。

だからヨヌさんに聞いてみたかったのに、まさかあなたのレイヌナが書いてたなんて……

あなたのレイヌナが書いたと思うと、余計にこの歌詞は切なく思えて仕方なかった。



(なまえ)
あなた
うん、懐かしいな…

まだ大学生のときだったかな。
ヨヌオッパの手伝いをしてたときに、書いた歌詞なんだ!
ハン
ハン
……………………
(なまえ)
あなた
あれ?
でも、どうしてハンさんがそれを知ってるの?
ハン
ハン
さっき、ヨヌさんに教えてもらって…
(なまえ)
あなた
そうだったんだ!
なんか恥ずかしいな…

そういうとあなたのレイヌナは恥ずかしそうに頬を赤らめた。


かわいいな。


いやいや、違う違う!!


僕は勇気を振り絞って、バクバクしてる心臓を落ち着かせながらあなたのレイヌナに問いかけた。



ハン
ハン
あのさ……
あの最後の歌詞、【さようなら】ってどういう意味か、聞いてもいいかな?
(なまえ)
あなた
………えっ?
ハン
ハン
僕さ、あの曲あの歌詞に出会ってから、ずっとヨヌさんのファンだったんだ。
いつかヨヌさんに出会えたら、あの歌詞の意味を聞いてみたくて…
(なまえ)
あなた
………あの歌詞の、意味……
ハン
ハン
まさかあなたのレイヌナが書いてたなんて……
(なまえ)
あなた
ヨヌオッパじゃなくて、ガッカリさせちゃったかな…
ハン
ハン
まさか!!
そういうことじゃないんだ……!
(なまえ)
あなた
??

ちがう、そうじゃない。

そうじゃなくて………

ハン
ハン
あなたのレイヌナ。
イヤだったら答えなくていいんだけど…
















ハン
ハン
……あの歌詞って、あなたのレイヌナが体験したことを書いたの?










これをあなたのレイヌナに聞いて、どうするんだろう。

ヨヌさんから聞くのと、あなたのレイヌナから聞くのとでは訳がちがうと思うから。

きっと実話、だと思う。

そしたら、実話だったら、あなたのレイヌナがその時どんな恋をして、どんな気持ちで書いたのか、聞きたくなってしまう。

そう、スリラチャとしては…


でもハンジソンとしては、好きな女性の過去の恋愛を聞きたくない。


その狭間に、僕はいる……



(なまえ)
あなた
うん、そうだよ。




ズキンッ


胸が大きく、えぐられるような気がした。

ハン
ハン
どんな、体験を、したの?

聞きたくない
聞きたくない
聞きたくない


そう思えば思うほど、聞きたい、という僕の気持ちに嘘はつけなくなってしまう。

(なまえ)
あなた
大切な人が、いたんだ。

そう言ったあなたのレイヌナの顔は、恐ろしいほど優しい顔をしていた。

あっ、本当に大切な人がいたんだな、と、痛感させられた。

ハン
ハン
……大切な、人…………
(なまえ)
あなた
ハンさん?

あなたのレイヌナがぼーっとしてしまってる僕の顔を、心配そうに覗き込んできた。

なぜかその顔が見ていたくなくて、気付いたら僕はあなたのレイヌナを抱き締めていた。

(なまえ)
あなた
……っ!!
ハ、ハン……さん?
ハン
ハン
…………………

でも僕はどこまでいってアーティストなんだな、と思った。

長年抱えていた疑問が、知りたいことが目の前にある。

そこに答えを求めたくなった。

例えそれで、自分自身が傷付くことになったとしても…

ハン
ハン
あなたのレイヌナ。
この歌詞を書いたときのこと、聞かせてもらえないかな?
(なまえ)
あなた
……………………
ハン
ハン
そのときあなたのレイヌナは何を思ってて、どう感じてたのか。
その大切な人のことも、教えてほしい…

抱き締めていてあなたのレイヌナの顔は分からなかったけど、腕にいる君は少しビクッとしたように感じたのは、きっと間違えじゃない。





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