僕は、どうしても聞きたかった。
なぜこの歌詞にしたのか。
そしてあなたのレイヌナ、君に何があってこの歌詞を書いたのか……
作詞活動をしていて思うことは、歌詞はすべて自分に起こったこと、体験談とは限らない、ということ。
僕に関しては、体験もあるけど、ほとんどが想像で書いていることが多い。
でもなんでだろう。
この歌詞に出会ったときからずっと、この歌詞は息をしてるような気がしてたんだ。
だからヨヌさんに聞いてみたかったのに、まさかあなたのレイヌナが書いてたなんて……
あなたのレイヌナが書いたと思うと、余計にこの歌詞は切なく思えて仕方なかった。
そういうとあなたのレイヌナは恥ずかしそうに頬を赤らめた。
かわいいな。
いやいや、違う違う!!
僕は勇気を振り絞って、バクバクしてる心臓を落ち着かせながらあなたのレイヌナに問いかけた。
ちがう、そうじゃない。
そうじゃなくて………
これをあなたのレイヌナに聞いて、どうするんだろう。
ヨヌさんから聞くのと、あなたのレイヌナから聞くのとでは訳がちがうと思うから。
きっと実話、だと思う。
そしたら、実話だったら、あなたのレイヌナがその時どんな恋をして、どんな気持ちで書いたのか、聞きたくなってしまう。
そう、スリラチャとしては…
でもハンジソンとしては、好きな女性の過去の恋愛を聞きたくない。
その狭間に、僕はいる……
ズキンッ
胸が大きく、えぐられるような気がした。
聞きたくない
聞きたくない
聞きたくない
そう思えば思うほど、聞きたい、という僕の気持ちに嘘はつけなくなってしまう。
そう言ったあなたのレイヌナの顔は、恐ろしいほど優しい顔をしていた。
あっ、本当に大切な人がいたんだな、と、痛感させられた。
あなたのレイヌナがぼーっとしてしまってる僕の顔を、心配そうに覗き込んできた。
なぜかその顔が見ていたくなくて、気付いたら僕はあなたのレイヌナを抱き締めていた。
でも僕はどこまでいってアーティストなんだな、と思った。
長年抱えていた疑問が、知りたいことが目の前にある。
そこに答えを求めたくなった。
例えそれで、自分自身が傷付くことになったとしても…
抱き締めていてあなたのレイヌナの顔は分からなかったけど、腕にいる君は少しビクッとしたように感じたのは、きっと間違えじゃない。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。