アジトに閉じこもってばかりで家族の心配ばかりしている私を気遣って、シャルナークが「少し外の空気を吸いに行こうよ」と連れ出してくれた。
夕暮れ時の街は、オレンジ色に染まっている。
照れくさそうに微笑むシャルナーク。
断る理由なんてなくて私が頷くと、彼は嬉しそうに私の指に自分の指を絡めてきた。
繋がれた手から伝わる温もりに、少しだけ心が軽くなる。
まっすぐで優しい言葉にキュンとしていると、ふと、通り沿いに停まっていた黒塗りの高級車が目に入った。
見覚えのあるエンブレム。
夫の屋敷で何度も見た、マフィアの手下たちが使う車だった。
息を呑んで立ちすくむ私の視線に気づいたのか、車内の後部座席に座っていた男とガッチリ目が合ってしまう。
車内で手下たちが騒ぎ出し、ドアが開く音が響く。
血の気が引いて身体が凍りつく私を庇うように、シャルナークがすっと私の前に立った。
繋がれた手をギュッと握り直してくれる。
シャルナークは、駆け寄ってこようとする手下たちを冷ややかな目で見下ろすと、いつものニコニコした笑顔を浮かべた。
でも、その緑の瞳からは完全に光が消えている。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。