勇志「どれくらい?」
あなた「すごく好き」
酔っ払いすぎて、いつもの勇志じゃないみたい。
でも、こういう初めての勇志にびっくりするけど、
好き。
勇志「俺は、あなたのこと『彼女』って言いたい。みんなに自慢したい」
そう言って、勇志が悲しそうな顔をする。酔っているからか、感情のフィルターが完全に外れているみたいだ。
勇志「今日、あの女の子が来て……俺の隣に座って……触ってきた」
あなた「……うん」
勇志「気持ち悪かった。あなたじゃないから、やだって思った」
あなた「……そうなんだ」
勇志「でも、連絡返せなかった。あなたに、ここに来てほしかったから」
あなた「……それで飲んだの?」
勇志がこくんとうなずく。
勇志「でも、あなた、、怒ってる?」
あなた「怒ってないよ」
勇志「ほんと?」
あなた「ほんと」
勇志が安心したように、ふにゃっと笑った。その顔があまりにも無防備で、かわいくて——胸がぎゅうっと締め付けられる。
あなた(この人、こんな顔もするんだ……)
勇志「あなた」
あなた「ん?」
勇志「ぎゅってしていい?」
あなた「……いいよ」
勇志が私をぎゅうっと抱きしめる。さっきまでのふにゃふにゃした感じとは違って、しっかりとした力で。
勇志「あなた、あったかい……いいにおい……すきすきすき……」
あなた「わかったから! 歩こう!」
勇志「やだ。もっとこうしてたい」
あなた「家帰ってからにしよう?」
勇志「……約束?」
あなた「約束」
勇志がようやく離れて、また私の肩に寄りかかる。
勇志「あなた手、つなぐ?」
あなた「もうつないでるよ」
勇志「あ、ほんとだ。あなたの手、ちいさい。かわいい」
あなた「……酔っ払い」
勇志「酔ってないもん。あなたが好きなだけ」
そんなことを言いながら、とことこ歩く勇志。普段はクールでかっこいいのに、今は完全にデレデレだ。
あなた(これ、覚えてるのかな……)
もし覚えてたら、明日どんな顔すればいいんだろう。でも、今の勇志はあまりにもかわいくて、ずっと見ていたくなる。
家に着いて、勇志をソファに座らせる。水を出して、テーブルに置く。
あなた「ほら、水飲んで」
勇志「……ん」
大人しく水を飲む勇志。喉が動くのを見て、なぜかどきっとする。
飲み終わると、ぺたりとソファに座り込んで、私を見上げた。
勇志「あなた、こっちきて」
あなた「何?」
勇志「こっち」
手招きするから近づくと、突然腕を引かれて、そのままソファに倒れ込んだ。勇志の胸の上に、私が乗っている形。
あなた「ちょっと! 重いでしょ!」
勇志「重くない。あなた、かるい」
あなた「そういう問題じゃなくて!」
勇志「このまま寝る」
あなた「お風呂入らないの?」
勇志「明日の朝入る」
あなた「そんな……」
勇志が、私の背中に手を回して、ぎゅうっと抱きしめる。
勇志「あなたの重さ、気持ちいい。ずっとこうしてたい」
あなた「……甘えん坊になっちゃったね」
勇志「いつもは我慢してるから」
あなた「……そうなの?」
勇志「うん。だって、かっこいいとこ見せたいから。でも、今日は無理。酔ってるから、我慢できない」
そう言って、私の髪を撫でる。優しい手つきに、どきどきが止まらない。
勇志「あなたは、俺のこと、かっこいいと思う?」
あなた「……思うよ」
勇志「でも、今は?」
あなた「今は……かわいいと思う」
勇志が、むうっと顔をしかめる。
勇志「かわいいは、男は嬉しくない」
あなた「えー、でもかわいいよ」
勇志「……じゃあ、あなただけにしか見せない」
あなた「何を?」
勇志「かわいいとこ。他の人には、かっこいいとこだけ見せる。あなたには、かわいいとこも見せる」
あなた「……それ、すごく嬉しい」
勇志が、にこっと笑う。その笑顔があまりにも無邪気で、愛おしくて——思わず、勇志の額にキスをした。
勇志「……!」
勇志が驚いたように目を見開く。そして、みるみるうちに顔が赤くなった。
勇志「……幸せ」
あなた「私も」
勇志「あなた、好き。だいすき。いちばんすき」
あなた「うん、知ってる」
勇志「ずっと一緒にいる?」
あなた「うん、いるよ」
勇志「約束?」
あなた「約束」
勇志が安心したように、目を閉じる。そのまま、すうすうと寝息を立て始めた。
あなた「……寝ちゃった」
起こそうか迷ったけど、このまま寝かせてあげよう。重いけど、温かいし、気持ちいい。
私も勇志の胸に顔をうずめて、目を閉じる。
明日、このこと覚えてるかな。覚えてたら、勇志はどんな顔するだろう。
でも、どんな顔をしても、また好きになるんだろうな。
そんなことを思いながら、私も静かに眠りについた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。