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第54話

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2026/02/25 06:29 更新


勇志「どれくらい?」

あなた「すごく好き」

酔っ払いすぎて、いつもの勇志じゃないみたい。

でも、こういう初めての勇志にびっくりするけど、

好き。

勇志「俺は、あなたのこと『彼女』って言いたい。みんなに自慢したい」

そう言って、勇志が悲しそうな顔をする。酔っているからか、感情のフィルターが完全に外れているみたいだ。

勇志「今日、あの女の子が来て……俺の隣に座って……触ってきた」

あなた「……うん」

勇志「気持ち悪かった。あなたじゃないから、やだって思った」

あなた「……そうなんだ」

勇志「でも、連絡返せなかった。あなたに、ここに来てほしかったから」

あなた「……それで飲んだの?」

勇志がこくんとうなずく。

勇志「でも、あなた、、怒ってる?」

あなた「怒ってないよ」

勇志「ほんと?」

あなた「ほんと」

勇志が安心したように、ふにゃっと笑った。その顔があまりにも無防備で、かわいくて——胸がぎゅうっと締め付けられる。

あなた(この人、こんな顔もするんだ……)

勇志「あなた」

あなた「ん?」

勇志「ぎゅってしていい?」

あなた「……いいよ」

勇志が私をぎゅうっと抱きしめる。さっきまでのふにゃふにゃした感じとは違って、しっかりとした力で。

勇志「あなた、あったかい……いいにおい……すきすきすき……」

あなた「わかったから! 歩こう!」

勇志「やだ。もっとこうしてたい」

あなた「家帰ってからにしよう?」

勇志「……約束?」

あなた「約束」

勇志がようやく離れて、また私の肩に寄りかかる。

勇志「あなた手、つなぐ?」

あなた「もうつないでるよ」

勇志「あ、ほんとだ。あなたの手、ちいさい。かわいい」

あなた「……酔っ払い」

勇志「酔ってないもん。あなたが好きなだけ」

そんなことを言いながら、とことこ歩く勇志。普段はクールでかっこいいのに、今は完全にデレデレだ。

あなた(これ、覚えてるのかな……)

もし覚えてたら、明日どんな顔すればいいんだろう。でも、今の勇志はあまりにもかわいくて、ずっと見ていたくなる。
家に着いて、勇志をソファに座らせる。水を出して、テーブルに置く。

あなた「ほら、水飲んで」

勇志「……ん」

大人しく水を飲む勇志。喉が動くのを見て、なぜかどきっとする。

飲み終わると、ぺたりとソファに座り込んで、私を見上げた。

勇志「あなた、こっちきて」

あなた「何?」

勇志「こっち」

手招きするから近づくと、突然腕を引かれて、そのままソファに倒れ込んだ。勇志の胸の上に、私が乗っている形。

あなた「ちょっと! 重いでしょ!」

勇志「重くない。あなた、かるい」

あなた「そういう問題じゃなくて!」

勇志「このまま寝る」

あなた「お風呂入らないの?」

勇志「明日の朝入る」

あなた「そんな……」

勇志が、私の背中に手を回して、ぎゅうっと抱きしめる。

勇志「あなたの重さ、気持ちいい。ずっとこうしてたい」

あなた「……甘えん坊になっちゃったね」

勇志「いつもは我慢してるから」

あなた「……そうなの?」

勇志「うん。だって、かっこいいとこ見せたいから。でも、今日は無理。酔ってるから、我慢できない」

そう言って、私の髪を撫でる。優しい手つきに、どきどきが止まらない。

勇志「あなたは、俺のこと、かっこいいと思う?」

あなた「……思うよ」

勇志「でも、今は?」

あなた「今は……かわいいと思う」

勇志が、むうっと顔をしかめる。

勇志「かわいいは、男は嬉しくない」

あなた「えー、でもかわいいよ」

勇志「……じゃあ、あなただけにしか見せない」

あなた「何を?」

勇志「かわいいとこ。他の人には、かっこいいとこだけ見せる。あなたには、かわいいとこも見せる」

あなた「……それ、すごく嬉しい」

勇志が、にこっと笑う。その笑顔があまりにも無邪気で、愛おしくて——思わず、勇志の額にキスをした。

勇志「……!」

勇志が驚いたように目を見開く。そして、みるみるうちに顔が赤くなった。

勇志「……幸せ」

あなた「私も」

勇志「あなた、好き。だいすき。いちばんすき」

あなた「うん、知ってる」

勇志「ずっと一緒にいる?」

あなた「うん、いるよ」

勇志「約束?」

あなた「約束」

勇志が安心したように、目を閉じる。そのまま、すうすうと寝息を立て始めた。

あなた「……寝ちゃった」

起こそうか迷ったけど、このまま寝かせてあげよう。重いけど、温かいし、気持ちいい。

私も勇志の胸に顔をうずめて、目を閉じる。

明日、このこと覚えてるかな。覚えてたら、勇志はどんな顔するだろう。

でも、どんな顔をしても、また好きになるんだろうな。

そんなことを思いながら、私も静かに眠りについた。

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