懐中電灯の光に照らされ、影の正体が露わになる。
………………綺麗……。
思わず呟いてしまった一言。
それ程までに目の前に現れた少女は美しかったのだ。
光に照らされ輝く髪は透き通るような栗色。
色白な肌。垂れ目がちなアーモンド型の瞳に艶やかな唇。
それらはまるで西洋人形のような出で立ちである。
あまりの可憐さに一瞬にして心を奪われていた。
彼女は少し驚いた表情を見せた後、すぐに笑顔になり言った。
波打ち際で二人して笑い合う。
たったそれだけの事なのに何故だかとても嬉しくて堪らなかった。
此処に来た目的など忘れてしまう程に──。
小指を差し出す彼女に微笑みかけながら、自分もまた同じように差し出した。
そして互いの指を絡め合い、小さく振った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。