普と星を見たときの事を思い出す。
あの時は12歳の頃だったかなぁ。
7月7日。
七夕の日に見に行けたのはロマンチックだったな。
生まれて初めて綺麗だと思った星は、
普とあの時見た、天の川だったな。
天の川を一緒に見たときのあなたの顔は、
初めてみた表情だった。
あの日からまた来年も再来年も、
ずっと、生きている間の7月7日は
必ず見に行こうと決めたんだ。
でも
あの日が最後だったね。
あなたと一緒に星が見れたのは。
その次の年の7月6日にあなたは死んだんだ。
7月に入ったばかりだというのに結構暑かった。
梅雨だったからカエルを探しに行こうと、
虫かごと虫取り網を持って出かけた。
あなたが被っていた麦わら帽子は凄く似合っていた。
しばらく見ていると向日葵みたいな笑顔を
こっちに向けて心臓が速くなった気がした。
カエル探しに夢中でどこか知らない湿地帯に来ていた。
足元がヌルヌルして滑りやすかった。
あなたが俺の方を見ながら後ろ歩きで歩いていると
大きな湖があり、あなたはそこに落ちた。
俺は必死に近くにあった長い棒を
湖の中に突っ込んで掻き回した。
何度も呼んでも声はしない。
棒に違和感があった。
引き上げてみると、
嫌だ。死んじゃ嫌だ。
一緒に星を見に行くって決めたのに!
湖の反対側に本に出てきそうな神秘的な男の人がいた。
その人の腕にはあなたが人形の様に横たわっていた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!