第4話

2.虎の所在
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2026/09/29 05:32 更新



あなた
却説、人虎は何処だろな〜



鼻歌を歌いながら土手を歩く。



人虎、名は『中島敦』。
何故か七十億の懸賞金が懸っている少年。

虎に変身するだけ(・・)異能と聞いているけど、本当にそれだけなのかな。
抑々動物に返信する性質(タイプ)の異能はあまり聞かない。

だが、希少だからと云う理由で七十億も出すだろうか。
外国の人だから金銭感覚が狂ってるって可能性もあるけど。


金持ちほど金遣いの荒い人間は居ないが、それと同時に金持ちほど物の価値を見極められる人間もそう居ない。

となると、七十億以上の価値がある物を手に入れる為には人虎、性格には『中島敦』の異能力が必要ということ…。


その『七十億を払う程の価値のあるもの』とは何なのか。


 
あなた
…兄さんだったら判るのかな



ぽつりと呟く。


 
太宰治
何やら考え込んでいるようだけど、乱歩さんがどうかしたのかい?



後ろから声を掛けられる。

私は振り向いて云った。


 
あなた
裏切者の太宰さんだ
あなた
どうして此処に?



太宰さんは微笑み、そして云った。


 
太宰治
どうしてだと思う?
あなた
自殺?



私は迷いもなく答えた。

自殺嗜好が河でやる事と云えば、入水か入水かナンパ(心中の誘い)くらいだろう。


 
あなた
正確には入水かな



特に凄む事なく、只淡々と云う。


 
太宰治
当たり〜
太宰治
そう云う君は此処で何を?



私は考えてから云った。


人虎の存在を敵対している探偵社の人間(・・・・・・)に伝えるべきか。
まぁ考えるまでもない。

敵対しているのだから此方の情報を伝える事など裏切行為とも取れてしまうのだから。


 
あなた
特に何も?
あなた
気分転換に散歩してただけだよ
太宰治
それだけかい?
あなた
今マフィアに連絡して太宰さんを捕まえに来させたら、それだけじゃあなくなるね
太宰治
やってみなよ



太宰さんがにやりと笑う。
余裕の笑みという奴だろう。


 
あなた
嫌だね
太宰治
それはどうして?



太宰さんは意外そうに尋ねる。

本当にやると思っていたのだろうか。


 
あなた
森さんの言葉を借りるなら

『合理的じゃないし、最適解は他にある』


私はそう云った。


 
あなた
太宰さんも(・)太宰さんで何か企んでるでしょ?
太宰治
それはどうかな?
あなた
そうじゃなきゃ態々私に会いに来たりしない(・・・・・・・・・)よ
太宰治
…流石だね

太宰治
それじゃあ改めて



太宰は真剣な表情で云った。


 
太宰治
乱歩さんと一度よく話し合うんだ
太宰治
あなたちゃんの事をずっと捜しているよ
あなた
それは出来ない



私は静かに云った。


 
太宰治
…そうかい、残念だ



がっくりと肩を落として云う。


 
あなた
私が今何処で何をしているのか、全部兄さんに伝えればいいじゃん
あなた
企み過ぎだよ太宰さん
太宰治
君ほど企んではないと思うけど
太宰治
ま、この話になったらキリがないね
太宰治
それじゃあ



太宰さんは私に背を向け、手を振りながら戻って行った。

…多分入水をしに。






 
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