ネオン街の夜景を切り裂くように、高架トラムの無人車両は音もなく滑っていく。
車窓の向こう、街の色は深紅から青紫へと変わり、空気は徐々に人の気配の少ない、キンと澄んだものになっていく。
トラムの中で、RABBIT___初兎ちゃんはずっとあせあせしながら、任務概要を読み上げていた。
WOLFは座席にもたれ、目を閉じたまま返事をしない。
僕はそんな彼らを横目に、窓ガラスに映った自分の目元を整える。
口元の白布のおかげで、表情は読み取られにくいはずだ。
僕は笑いながら、窓に映る彼らの影を指でなぞった。
トラムが静かに停車し、ドアが開くと同時にひんやりとしたフェイズの気配が肌を撫でた。
半分崩れたビルが立ち並ぶ、都会とは思えないほど廃れた場所。
薄汚れた空気と、昔のビル特有の鼻につく匂いが漂っている。
相変わらず用心深いなぁ…
思いの外素直に頷いてくれたのが嬉しくて、足取りが軽くなる。
…………軽くなりすぎたみたいだ。
しばらく進むと、フェイズの気配は段々と濃くなってくる。
いつもつけているヘッドフォンを外した途端にこれだ。
やはり彼の耳は侮れない。
軽く言葉を交わしながらWOLFの指示に従ってフェイズを探る。
すかさず左のフェイズを撃つWOLF。
音もなく、2体のフェイズは崩れ落ちた
そういって彼は得意げに笑った。
WOLFが走り回ってフェイズを撹乱し、僕が遠距離銃で残りの3体をまとめて撃ち抜く。
連携を取るつもりなんてなかったのに、気づけば背中合わせで戦っていた。
銃を受け取り、照準センサを覗く。
神経パターンに直接ロックして、撃つ瞬間に脳信号をほんの一瞬だけ切断する_____そんな精密な仕組み。
わずかに赤くなった耳が、髪の隙間からちらりと覗いた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。