第3話

天才と名探偵 2
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2025/09/04 14:33 更新
綾小路清隆
綾小路清隆
死ぬのが怖いんだろ。
コウモリ
コウモリ
何を言っている。
シエスタ
シエスタ
退くのが早すぎたのよ。私たちに負けを認めて身を退くのが。
シエスタ
シエスタ
このご時世にたった一人でハイジャックをしようとしている男が女子供相手にそう易々と引き下がるわけがない。恐らくあなたは誰かの指示でハイジャックを実行している。そして、あなた自身も墜落する飛行機と共に死ぬのを命じられている。
綾小路清隆
綾小路清隆
でもお前は本当は死ぬのが怖くて、死にたくないから。死なずに済む理由に俺たちを利用したんだろ。
シエスタ
シエスタ
ふふ、やっぱり君は私の助手にふさわしいね。
すると、シエスタは客席に戻ろうとした。
綾小路清隆
綾小路清隆
おい、勝手に戻ろうとするな。
シエスタ
シエスタ
どうせ、君なら勝手についてきそうだし。
コウモリ
コウモリ
おい、最後に一つ聞かせろ。
コウモリ
コウモリ
どうして全部分かった。
コウモリ
コウモリ
何をヒントに推理できた。ただ俺が身を退くのが早すぎたからって、それだけで。
シエスタ
シエスタ
それもあるけど...最初からあなたの事、知ってたから。
綾小路清隆
綾小路清隆
(なるほど、そういうことか。)
シエスタ
シエスタ
あなたが今日この飛行機に乗ることも、ハイジャックを企てていることも、それからついでに、それを命じたあなたのお仲間たちのことも。全部。
シエスタ
シエスタ
だけど、なんで?なんで助手は何の情報もなく私の推理に辿り着けたの?
綾小路清隆
綾小路清隆
...なんとなくだ。
シエスタ
シエスタ
へぇ...まさか...
綾小路清隆
綾小路清隆
なんだ?
シエスタ
シエスタ
いや、何でもないよ。まぁ、そう言うわけで。
シエスタ
シエスタ
一流の探偵は、事件が起きる前に事件を解決しておくものだから。
コウモリ
コウモリ
そういうことだったか...いやぁ、念のため聞いておいて良かった...
シエスタ
シエスタ
助手、伏せて!!
綾小路清隆
綾小路清隆
!!...思い切り押し倒さなくても ...
綾小路清隆
綾小路清隆
お前...
シエスタは腕から血が出ていた。
コウモリ
コウモリ
悪いな、予定変更だ。
コウモリの耳には、紫色の太い触手のようなものが生えていた。
コウモリ
コウモリ
一つ教えといてやろう。一流のエージェントっていうのはなぁ、若い芽を見つけたら、育つ前に刈り取っておくものなのさ。
綾小路清隆
綾小路清隆
大丈夫なのか…。
シエスタ
シエスタ
くっ、頭の良い助手なんて雇うんじゃなかった!
綾小路清隆
綾小路清隆
理不尽だ。頭が良いだけマシだろ。
綾小路清隆
綾小路清隆
...何だよ、アレ。
シエスタ
シエスタ
人造人間だよ。あの男は秘密組織SPESの構成員。
綾小路清隆
綾小路清隆
スペース?
シエスタ
シエスタ
SPESは、人知を越えた力で人造人間を生み出し、裏世界を脅かしているんだよ。
シエスタ
シエスタ
あの男はまだ耳だけだけど、それも試作品を盗み出してそれを定着させたに過ぎない。
シエスタ
シエスタ
いわば、半人造人間。
綾小路清隆
綾小路清隆
どうしてそんなことを…。
シエスタ
シエスタ
そして!組織を裏切った罰として彼には今回のペナルティが下ったって訳。
綾小路清隆
綾小路清隆
もしかしてお前も…。
コウモリ
コウモリ
そうか、そこまで知ってるか。だったらやはり。
コウモリ
コウモリ
お前の死体を手土産にするのが得策みたいだな!
シエスタ
シエスタ
助手!
紫色の耳が当たる前に、シエスタが俺を運ぶ。
綾小路清隆
綾小路清隆
お前も人造人間なのか?
そう言うと、シエスタは俺のことを強く降ろした。
シエスタ
シエスタ
バカか、君は。
シエスタ
シエスタ
私が化物に見える?
綾小路清隆
綾小路清隆
いや、化物じみているとは思うがな。
シエスタ
シエスタ
君、絶体モテないでしょ。
綾小路清隆
綾小路清隆
...
そんなことを言っているうちに、コウモリがこっちに来て、乗客がひどく混乱している。
シエスタ
シエスタ
落ち着いて!こっちに避難をお願いします!
コウモリ
コウモリ
あぁあ、阿鼻叫喚だな。こうなりゃヤケだ。余計な人間は全員殺してやる。
綾小路清隆
綾小路清隆
早まるな。そんなことをしたら飛行機は墜落してお前まで死ぬぞ。
コウモリ
コウモリ
はっ、パイロットだけは生かしといてやるさ。というか、お前は誰だっけ?
綾小路清隆
綾小路清隆
名探偵の助手だ。お前は随分頭が悪いようだな。
シエスタ
シエスタ
へぇ~。私を名探偵と呼んでくれるんだ。出来た助手だ!
綾小路清隆
綾小路清隆
いや、今のは忘れてくれ。
シエスタ
シエスタ
助手...!
耳がこっちに向かってくる。
綾小路清隆
綾小路清隆
っぶね...
急いで椅子の裏に隠れる。
綾小路清隆
綾小路清隆
本当に何なんだ。アレは。
シエスタ
シエスタ
へぇ、運動神経も良いんだね。ていうか、本当に何も知らないんだね。
綾小路清隆
綾小路清隆
いつの間に...そりゃ普通の学生が裏世界の事情なんか知るかよ。
シエスタ
シエスタ
謎のアタッシュケースを手に、海外に渡っている学生が何か言った?
綾小路清隆
綾小路清隆
だから本当に...どこまで知っているんだ。

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