前の話
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俺は、今でも覚えてるよ。
俺と、涼太が…付き合った日のこと。
たしか、涼太が『走りました』って感じのすっごい疲れた顔して
俺の家に訪問してきたんだったよね。
おれ、すっごいびっくりしたんだよ?
何も言わずに急に抱きついてきたからさ。
最初はお酒にでも酔ってんのかと思ったけど、『い
や、飲んでない。』なんて真剣にいわれたからさ、
めっちゃその時、顔赤かったかもな。俺。
あと、すっごく嬉しかったのは覚えてるよ。
あ、それは…付き合い始めてからもだからね?
同居するって決めて物件探してる間も、よくお互いの家に遊びにいったり、
デートしたりしたよね。
俺が寂しいときとか、落ち込んでるときはどんなときでも来てくれて
『大丈夫。俺は翔太の味方だから』って励ましてくれたな。
俺、涼太の優しいところとか、料理が上手な所とか、大人っぽいところとか、
すっごい好きだよ。
……えっちするとき、加減してくれないとこは嫌いだけどさ。
でも…それ以外はぜーんぶ大好きだよ。
ずっと一緒にいたいし、毎日が幸せだったんだよ。
だからさ…
……ボコッ、ガコッ!!!
殴られても、じんじん体中が痛んでも…気にしないから、
もう一度あの時みたいにさ、
おっきなその腕で、抱きしめてよ。
偉いね、かわいいねって褒めてよ。
好きだよって、愛してるよっていってよ。
たった一度、それだけでもいいからーーー。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!