第4話

No.3 近づくのは光か闇か
8
2025/09/05 11:05 更新
朝、和樹が席に座って本を読んでいると、

1人の男の子が近づいてきた。

「何の本読んでるの?」

そう聞かれた和樹は本を閉じ、手渡した。

「太宰治の人間失格か…。文豪の本をよく読むの?」

その言葉に頷きながら、和樹はノートを取り出した。

『貴方も本を読む?』

「うん。あ、僕の名前は鈴木桜(すずきはる)。桜って呼び捨てでいいよ。よろしくね。」

そう言いながら桜は和樹のノートに

自分の名前を書いた。

『よろしく。僕は佐藤和樹。桜はどんな本を読むの?』

「僕も和樹と同じで文豪の本を読むよ。例えば、夏目漱石のこころや宮沢賢治の雨ニモマケズとかかな。読んだことある?」

『あるよ。文豪以外にもミステリーやサスペンスも好きだな。』

「同じだ。和樹、確か音楽聞くって言ってたよね?何の音楽聞いてるの?」

『邦楽と洋楽をよく聞くよ。』

「へぇ〜、僕は英語分かんないからあんまり聞いたことないな。」
桜は前髪が長く、マスクをしていて表情が分からないが

声で和樹との会話を楽しんでいることが分かる。

和樹は小さい頃から声が出なくなったせいで、

他の人から距離を置かれるようになった。

近づいて来る人はだいたいいじめてくる人だった。

人を見て、実際に関わってみて、

善か悪かを見極めることにした。

(桜はいい人…だと思う。だけど…まだ、分からない。もっと深く、長く桜と関わらないと。簡単には信用できない。)

「あ、もうすぐでチャイム鳴るから自分の席戻るね。また話そう。」

(話せなくなった原因って何だ?というか、ぜんっぜん笑わねぇーな、あいつ。まずは信用してもらわねぇと。)

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