第25話

27:とある授業
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2025/02/13 08:00 更新

「……いっ」

あなたが小さく息を呑んだのを聞いて
俺は即座に顔を上げた

いつもの魔法薬学の授業——のはずが、
教室の片隅で彼女がそっと手を押さえている

『あなた?』

俺が思わず呼びかけると
彼女は一瞬ピクリと肩を揺らした

「あ……シリウス?」

『お前、怪我したのか?』

俺は迷わず彼女の隣へ向かう

「えっ、大したことないよ!
     ただちょっと薬剤をこぼしちゃって——」

あなたは隠すように手を後ろへ引いた

だが、その仕草が余計に不自然で俺は眉をひそめる

『……見せろ』

「え、でも本当に——」

『いいから』

いつもならもう少し遠慮するが
どうにも嫌な予感がした

彼女の手をそっと取ると——
案の定、薬剤がかかった部分が赤く腫れている

『っ……!!』

瞬間、俺の心臓がギュッと締め付けられた

『お前……なんでこんなになるまで放っとくんだよ』

俺の声は思ったよりもずっと低く
苛立ちを含んでいた

あなたは少し驚いたように目を瞬かせる

「だ、だって、すぐ治るし……」

『そういう問題じゃねぇよ』

俺は苛立ちを誤魔化すように彼女の手を優しく包んだ

(どうしてお前は、そんなに無頓着なんだよ)

『ったく……でも珍しいな
          お前が授業で失敗するなんて』

「……うん、自分でもびっくり」

あなたは申し訳なさそうに小さく笑う

(……何か考え事してたんだろ)

察しはつく

最近
あなたはよく考え込んでいるような表情をしていた

——俺が熱を出した朝、
  あいつが慌てて部屋を飛び出していった時から 

(……まさか、まだあのことを気にしてるのか?)

俺が寝ぼけて言った「好き」って言葉——

あの日以来、あなたの視線を感じることが増えた

話していても、ふとした瞬間に頬を染めて
目をそらしたり俺が近づくと少しぎこちなくなったり

(……やっぱり、気にしてんのか?)

だったら、ちゃんと伝えないといけねぇよな

あなたの手を包んだまま俺はそっと杖を取り出した

エピスキー癒えよ

優しい光が手のひらを照らし
彼女の傷がゆっくりと癒えていく

「……ありがとう」

あなたが微笑む

その顔が、なんだかすごく愛しくて
俺は少し口角を上げた

『お前が魔法薬学で失敗するなんて、
        よっぽど何か考え事してたんだな』

「えっ……」

『何考えてた?』

彼女の手を離さずに、俺は少しだけ顔を近づける

あなたの頬が一瞬で赤くなり
慌てたように目を泳がせた

「そ、それは……」

『ん?』

「……言わないっ!」

彼女がぷいっと顔をそらす

その仕草が可愛くて、思わず笑ってしまった

『ふーん……』

俺は、彼女の手をそっと撫でるように指を滑らせる

『ま、どうせ俺のことだろ?』

「なっ……!!」

あなたの顔が一気に真っ赤になった

俺はその反応に満足して、ニヤリと笑う

『……気になるなら、ちゃんと聞けよ』

「え……?」

『俺の『好き』が、どういう意味か』

あなたの目が大きく揺れる 

「……」

『教えてやるよ』

俺はそっと、あなたの指先に唇を触れさせた

「……えっ……」

あなたが固まる

俺は、驚いてそのまま固まる彼女を見て満足そうに
微笑みながら立ち上がった

『さ、授業に戻るぞ』

いつものように軽くウィンクして
俺は自分の席へと戻る

あなたはまだ真っ赤な顔をしたまま、
               呆然としていた——

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