観覧車はふたりきり
遊園地のライトがきらきらと瞬いていた。夜の帳が降りたばかりの空に、観覧車がゆっくりと回りながら光を放っている。
「ね、ねぇみかさ」
隣に座るめるとが、不意に口を開いた。チケットを取ったときからずっと不思議だった。どうしても観覧車に乗りたがっていためると。今、その理由がわかりそうな気がする。
「……どうしたの?」
おれが首を傾げると、めるとは窓の外の夜景に視線を落とした。街の光が彼の横顔を照らす。子どもの頃からずっと見慣れているはずの横顔なのに、今はやけに大人っぽく見えた。
「俺さ……みかさに聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
「……俺のこと、どう思ってる?」
鼓動が跳ね上がる。思いがけない問いに、息を呑んで視線をめるとに向けると、彼は真っ直ぐにこちらを見ていた。甘い声で、でも逃げ場を与えない強さを含んだ瞳で。
「どうって……」
「幼なじみ? それとも……それ以上?」
観覧車は、今ちょうどてっぺんに差しかかっていた。街が一望できる高さ。静寂と、心臓の音だけが響いている気がした。
「……めるとは、昔から優しくて、頼りがいあって……」
必死に言葉を探しながら、気づけば声が震えていた。
「おれ、ずっと……」
すると、めるとが身を乗り出してきて、おれの言葉を遮るように距離を詰める。視線が絡まり合い、吐息が触れそうなほど近い。
「俺も、ずっとだよ。小さい頃から。みかさのこと、特別に思ってた」
「……めると」
「だから、今日誘ったんだ…よ、ね。どうしてもここで伝えたくて。俺は……みかさが好き。」
はっきりとした言葉に、胸の奥が熱くなる。頬が真っ赤になるのを隠すように俯くと、めるとの大きな手がそっと顎を持ち上げた。
「……俺の顔、見ろよ、」
「……恥ずかしい……」
「恥ずかしがるとこも、可愛い」
甘やかな声に包まれた瞬間、ふっと唇に温かさが触れた。軽く触れるだけのキス。だけど、初めてなのにどこか安心感に満ちていて、涙が出そうになる。
「……めると」
「返事、聞かせて?」
観覧車のゴンドラが少し揺れた。世界に二人きりになったような空間で、おれは深呼吸をして、勇気を振り絞る。
「……おれも、めるとが好き。幼なじみとかじゃなくて……ちゃんと、好き」
めるとの瞳が一瞬にして輝きを増す。そのまま強く抱きしめられ、耳元に低い声が落ちた。
「やっと言えた。これからは俺が、誰よりもみかさを大事にするから」
腕の力が心地よくて、胸の鼓動が二人の間で混じり合う。観覧車がゆっくりと下降し始めるころ、おれたちはまだ抱き合ったまま離れられなかった。
窓の外に広がる光よりも、めるとの温もりの方が眩しかった。
めるみかいーよね🫶








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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。