第34話

#.34
21
2026/07/23 13:36 更新
−薫視点−

俺は風呂場へ向かい、心路を見つけた。
杉山薫
杉山薫
掃除めっちゃサボってんじゃん
心路は風呂場の壁に背中をつけて座り込んでいた。遠くを見るような目をしている。
氷川心路
氷川心路
っあ、薫
杉山薫
杉山薫
悩んでんの
氷川心路
氷川心路
…まあ
そっと心路の隣に座った。
すると心路はまるで条件反射かのように俺の肩に頭を預けてきた。
氷川心路
氷川心路
…ねえ、思ったんだけど、薫は俺とあの子(璃乃さん)の恋、応援すんの?
杉山薫
杉山薫
え?もちろん。幸せになってほしいし
氷川心路
氷川心路
…ふーん
俺が心路の頭を優しく撫でると、心路は少し驚いたように体がぴくりと反応した。
氷川心路
氷川心路
この前までは俺にベタベタ触ってきたくせに(25話参照)
氷川心路
氷川心路
…まあ、あれが本気じゃないなんて、わかってたんだけどね。薫にはもう夏愛がいたもんな。
氷川心路
氷川心路
それなのに俺に「付き合ってほしい」とか言ってきたら、お前のことぶっ飛ばしてたわ
氷川心路
氷川心路
俺の妹と付き合うなら、浮気なんかしないでほしいもんだね
杉山薫
杉山薫
なーんだ、本気じゃないってわかってたんだ
氷川心路
氷川心路
そりゃそうだろ
氷川心路
氷川心路
──お互い、あの変な関係は本気じゃなかったってことか
杉山薫
杉山薫
仲いいよな、俺らって
杉山薫
杉山薫
──じゃあ、こうやって俺の肩に寄りかかってんのは、甘えん坊っていうことでいいのかな?
氷川心路
氷川心路
っ…バカが
杉山薫
杉山薫
…否定しないんだね
氷川心路
氷川心路
そもそも恋愛対象が男じゃないし
杉山薫
杉山薫
同感〜
氷川心路
氷川心路
…で、俺とあの子(璃乃さん)についてなんだけど
杉山薫
杉山薫
まずは距離を縮める。
ま、俺らに任しといて
氷川心路
氷川心路
はっ、やっぱり夏愛とグルだったのか
どうりであいつの行動がおかしかったわけだ
杉山薫
杉山薫
とりあえず心路は胸張ってな。
絶対大丈夫だから
そう言って俺は心路から離れた。
心路が寄りかかっていた右肩がほんの少しあったかかった。
-夏愛視点-

風呂場から先輩が戻ってきた。
その目はなんでもお見通しだと言わんばかりの余裕そうな目だった。
杉山薫
杉山薫
やっほ〜
氷川夏愛
氷川夏愛
先輩、お兄ちゃんとなに話してたんですか?
璃乃ちゃんはリビングの壁に背中をつけて座り込んでいた。遠くを見るような目をしている。
杉山薫
杉山薫
ん〜?秘密
氷川夏愛
氷川夏愛
はぁ、もう…
氷川夏愛
氷川夏愛
りーのちゃん!
杉宮璃乃
杉宮璃乃
ん、ああ、なに…?
氷川夏愛
氷川夏愛
ううん!今顔死んでたからさ〜
元気にいこ?
杉宮璃乃
杉宮璃乃
あ、ありがとう…
杉宮璃乃
杉宮璃乃
ねえ、その…あの人は…?
氷川夏愛
氷川夏愛
あの人?
杉山薫
杉山薫
心路のことかな?
杉宮璃乃
杉宮璃乃
そう、どこいったの?
杉山薫
杉山薫
もうすぐ戻ってくるんじゃない?
私がキッチンへ行って鍋を覗くと、美味しそうな肉じゃががたっぷり用意されていた。
氷川夏愛
氷川夏愛
うふふふふ、うふ、ふふふふ……肉じゃが…私の肉じゃが…♡
杉山薫
杉山薫
あれ、俺の知ってる夏愛じゃない笑い方してる
杉宮璃乃
杉宮璃乃
ふふっ…
氷川夏愛
氷川夏愛
あ!!!!璃乃ちゃん笑った!!
杉宮璃乃
杉宮璃乃
あっ…
杉宮璃乃
杉宮璃乃
ち、違うわ…
杉山薫
杉山薫
さっきから思ってたんだけど、口調すっごいお上品だよね〜
氷川夏愛
氷川夏愛
璃乃ちゃん笑った!!お兄ちゃん!
璃乃ちゃん笑った!!
杉宮璃乃
杉宮璃乃
あ、赤ちゃんみたいに言わないで…!!////
風呂場からどたどたと音を立ててお兄ちゃんが走ってきた。
氷川心路
氷川心路
本当か?
杉宮璃乃
杉宮璃乃
もう〜っ!!来ちゃったじゃないの!
氷川心路
氷川心路
よかった、ここが少し安心できる場所になったみたいだね
杉宮璃乃
杉宮璃乃
っ…別に…///
璃乃ちゃんが顔を赤くして目をそらした。
璃乃ちゃん自身は赤面になっていることを隠せていると思っているかもだが、実はそうでもなかった。

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