−薫視点−
俺は風呂場へ向かい、心路を見つけた。
心路は風呂場の壁に背中をつけて座り込んでいた。遠くを見るような目をしている。
そっと心路の隣に座った。
すると心路はまるで条件反射かのように俺の肩に頭を預けてきた。
俺が心路の頭を優しく撫でると、心路は少し驚いたように体がぴくりと反応した。
そう言って俺は心路から離れた。
心路が寄りかかっていた右肩がほんの少しあったかかった。
-夏愛視点-
風呂場から先輩が戻ってきた。
その目はなんでもお見通しだと言わんばかりの余裕そうな目だった。
璃乃ちゃんはリビングの壁に背中をつけて座り込んでいた。遠くを見るような目をしている。
私がキッチンへ行って鍋を覗くと、美味しそうな肉じゃががたっぷり用意されていた。
風呂場からどたどたと音を立ててお兄ちゃんが走ってきた。
璃乃ちゃんが顔を赤くして目をそらした。
璃乃ちゃん自身は赤面になっていることを隠せていると思っているかもだが、実はそうでもなかった。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!