見滝原市の朝は眩しいほどの春の光に満ちていた
新しく袖を通した制服は糊が効いていて少し硬い
私はその襟元を落ち着かない手つきで整えながら近代的なデザインが並ぶ通学路を歩いた
期待よりも胸を占めるのは微かな「空虚感」だった
私は幼い頃から物事の「裏側」が気になってしまう性質だった
綺麗にラッピングされたプレゼントの中身に込められた本当の意図
笑顔で話す大人の瞳の奥に隠された退屈
本当のことが知りたい
そんな漠然とした渇望が私の心の中に溜まっていた
前方から聞こえてきたのはリボンを揺らす女の子と快活な足取りの女の子の声
彼女たちが纏う眩しいほどに純粋な「日常」のオーラ
それは私がずっと求めていたけど手に入らなかった迷いのない世界そのものに見えた











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。