俺は、リビングでぼんやりとテレビを見ていた。
だけど、頭の中はどうしても舜太の事を考えていた。
最近、舜太は柔太朗と過ごす時間が多い。
距離も近いし。
あの2人、普通に手を触れ合ったりして…。
なんで俺だけ舜太に触れると避けられるんだよ…?
ふと、スマホが振動した。
みると、舜太からメッセージが入っていた。
【舜太】
『柔と会ってくるね』
その瞬間、俺の心に何かが引っかかる。
舜太が柔太朗と会う度に、どこかモヤモヤしている
自分が、いつもいた。
でも、それを直接言うことはなかった。
その後、夜遅くになって舜太は帰宅した。
いつも通りだが、どこか違和感があった。
俺はリビングから声をかけたが、頷くだけ。
舜太は少しだけため息をついてから、ぼそっと呟いた。
言葉に詰まった。
このところ、舜太の無防備な態度に俺の気持ちが潰れそうになっていた。
でも、うまく伝えられなかった。
舜太は驚いた顔をして、それから笑った。
俺は少し俯きながら、言い訳するように口を開いた。
その言葉に舜太は少しだけ冷たくなった。
舜太は、バタンとドアを閉めて自分の部屋に入ってしまった。
俺は、その背中を見送ることしかできなかった。
その後、俺は心の中で舜太に対する嫉妬の気持ちが大きく膨らんでいるのを感じた。
少しでも舜太に対して素直になりたい。
だけど、うまく言葉がでてこなかった。
しばらくして、舜太は外に出かけると言って出かけた。
俺は何も言わず、リビングで待っていたけど、
やがて不安が胸を締め付ける。
何度もスマホを確認していると、突然、舜太から電話がかかってきた。
電話口からは、少し焦った声が聞こえてきた。
一瞬、言葉が出てこなかった。
舜太の声が少し震えているのを感じっとった俺は、
急いで外に飛び出した。
…頼む、無事でいてくれ…!!
無我夢中になって走っていた時、
俺が舜太を見つけたのは人気のない路地裏だった。
舜太は何人かの見知らぬ男たちに囲まれて、少し後ろに下がっている。
男たちが舜太を囲み、無理に話しかけてきた。
舜太は必死に笑顔をつくっていたが、顔が少し青ざめているがわかった。
舜太は手を挙げて言い訳をしようとしたが、男たちは全く聞く耳を持たず、舜太の肩を押しながらさらに迫ってきた。
その瞬間、我慢できなかった。
怒りと心配が混じりあった感情が、体の中で爆発するように感じた。
俺は駆け出し、舜太の元に駆け寄った。
男たちが振り向く暇もなく、俺はその中のひとりを押しのけ、舜太の前に立ちはだかった。
1人の男が向かってきたが、すぐにそいつの手を掴んで投げ飛ばした。
その言葉に、男たちは少しびっくりした様子で後退し、
結局そのまま逃げるように帰っていった。
振り返ると舜太はぽかんとした顔で俺を見つめていた。
俺も舜太の顔をじっと見つめ、何も言わずにその場にたっていた。
舜太は少し震える手で見上げた。
そう言われ、俺は無言で頷き、舜太の頭を撫でた。
舜太は小さく笑った。
その言葉に、舜太は頷いた。
俺らは手を繋いでそのまま歩き出した。
舜太がポツリと呟くと、俺は少し照れながら答えた。
2人で並んで歩きながら、少しだけ距離を縮めた。
嫉妬や不安を乗り越えて、やっとお互いに、
素直になれた気がした。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。