第3話

記憶と記録
3
2025/07/21 03:00 更新
街の散策を続けていると、町から少し離れ、賑やかな声が聞こえなくなり静かになったところに、まるでときが止まっているかのような図書館があった。
ユイ
これは?
カイ
ここは、記録の殿堂「アーカ・ライブラ」。ここには全ての情報が乗っている。
いわゆる図書館であり、ネクタリア最大の人工知能が運営し管理する記憶の中枢でもあるらしい。
建物の外観は古代都市を模したような、白く、重厚な作りとなっていた。造りの様々に所々機械の枝が這うように広がっている。
ユイ
ここが、図書館……。
ユイは圧倒されたように見上げる。
街の一角に位置するとは思えないような空気があった。
さっきとは打って変わって澄み切っていた。

出るはずの無い唾を飲み込み、大きな扉を開ける。
カイ
ここには古代の歴史から今現在の情報全てが乗っている。街の歴史、技術の系譜、そして君と同じような「機械の体を持つもの」の情報もな。一般人の個人的情報を調べることは無理だが、自分のことについてならわかるだろう。
ユイ
私の……事も?
カイ
完全では無い。ただ、手がかりにはなるだろう。
中に入ると、上から光が差し込み、大量の本と人工知能の機械があった。
中は広大で、天井のはるか上まで本棚が伸びていた。
本が空中を浮き、飛んでいる。不思議な光景だった。
ホログラムが漂い、静かに書物が空中を行き交う様子は、まるで知識そのものが生きているようだった。
AI U360
いらっしゃいませ、ユイ様。
どこからともなく声が響く
ユイ
なぜ私の名前を……?
AI U360
来館記録より照合済み。あなたのIDチップは中央管理記録に存在します。ようこそ。「記録済み個体No.917__ギア名:フェルマータ・タイプC 名称ユイ様」
ユイ
フェルマータ??
初めて聞く名前に心がざわつく。
それはユイに割り当てられている番号と型番のようなものであった。
AI U360
調べたい情報をお教え下さい。
ユイ
私のことについて教えて
そう言うと、画面上にYES NOの文字が表示され、文章が出てくる。
AI U360
情報を表示しますか?
カイ
行け。知る覚悟があるなら。
ユイは大きく頷き、息を吸う
ユイ
YES

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