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第11話

Epilogue
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2026/01/17 09:00 更新




君がいなくなって、何度目かの夏が来た。





僕は、あの日君と来た町に来ていた。





君が死んだところには、誰のかも分からない花が控えめに置いてあって、まだ君は忘れられてないんだと安堵する。



るぅと
忘れてなんてあげないよ




言ったでしょ。




ずっとそばにいてくれるんでしょ。
 






だから忘れないでよ。









僕は、ちゃんと覚えてるからね。







るぅと
莉犬は、ちゃんと僕のそばにいてくれた。
るぅと
だから
るぅと
またね、莉犬









___________________________





るぅと
僕は、幸せになりたい。


るぅと
莉犬と一緒に。






神は、莉犬を救いはしなかった。





そして僕も、救われはしなかった。





僕は生きてしまったのだ。







莉犬は世界に殺された。


世界は莉犬を殺した。











僕は莉犬の、生きる理由にはなれなかった。







るぅと





爽やかな風が吹く。




僕の髪を揺らして通り抜けていった風は、少し崩れかけた廃屋の虚しさをさらって行く。









僕らのあの日を全部閉じ込めた場所。





君の全て。






深く、息を吸う。








緑の匂いがした。








また、ここに帰ってきた。









また、季節が巡る。 







___________________________















君がいないこの世界で、僕は生きていくことを選んだ。









るぅと
君の分まで、とかじゃないからね。
るぅと
君のために生きるんじゃないんだ。



幼かった僕ならば、不思議そうに問うだろう。



結局、生きるとはなんなのか。


その問の答えは、僕はまだわからないけど。






1つだけ、言えることがある。











僕は、生きるために生きている。



死ぬために生きているんじゃない。












いつか、ゴールにたどり着いた時、後悔しないように。








悔いのない人生だったと思えるように。










美しく散れるように。









咲いて、枯れて、散る。









そんな、美しくも儚い人生を生きれるように。


































もう、こんな世界に生まれなくてもいいように、今日を精一杯謳歌する。


















るぅと
僕は、君と一緒に、僕のために生きていく。




誰に向けてでもなく、僕はそう呟いた。



るぅと
⋯そろそろ帰ろうかな



最後に一度、君のいた場所に手を合わせてから外に出た。



そこは何も変わらず存在している。




時が止まっているみたいだ、とぼんやりと思う。





でも僕は進まなければいけない。






記憶を想い出にして進むしかない。









僕はきっと君を忘れない。





あの日のことを、きっと、死ぬまで覚えている。




るぅと
ばいばい、莉犬。



るぅと
⋯また来るね





もう、大丈夫だから。






僕は歩き出した。



ふと、声が聞こえた気がして振り返る。





今よりも少し幼い、二人の笑い声が聞こえたような気がする。










記憶の中で、僕らは笑っていた。







それで十分だ。






気づいたら目の縁に涙が溜まっていて、それを拭ってから息を吐いた。






僕の人生は、まだ始まったばかりらしいから。






君の人生は、終わってしまったけど。




















今日を、一歩ずつ生きていく。






長い長い人生を。












___________________________





人は失ってばかりで。




失ってはじめて、その大切さに気づくから。





失って、失って。




そうやって、少しずつ大切なものが変わっていく。




たくさん失って、たくさんたくさん何かを得る。






そうして、いつか気が付くときが来る。













_____僕はまた、君と出会う。













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『あの夏が飽和する。』











-Fin-









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