そして、時は過ぎていった。
今日も、莉犬と過ごした最後の日のような快晴だ。
ニュースでは毎日、猛暑日だなんだと騒いでいる。
僕の夏はもう戻ってこない。
僕らをいじめていたクラスメイトは、死んでなんかいなかった。
あの日、莉犬は何で殺したと言ったのか、焦って勘違いしただけなのか、嘘をついたのか、何故、嘘をついたのか、僕には分からない。
ただ、莉犬はもう、ここにはいない。
この世界のどこにも。
なぜか、君だけがどこにもいない。
あの日、あの夏の日を思い出す。
僕はずっと君だけを探している。
あの日、言えなかったこと、届かなかった言葉、全部、全部、僕の中に眠ったまま。
僕だけが、前に進めないまま。
君と過ごした、たくさんの日々。
どれも大切で、大事な想い出のはずなのに。
結局、君がいないと僕は駄目なんだ。
巡る記憶の中で、僕は君の笑顔に出会う。
何度も。
何度も。
僕は君の、何を見てきただろう。
君の笑顔が好きだった。
笑った声が好きだった。
君の、無邪気な声が好きだった。
莉犬は僕の隣に確かに存在していた。
だって、僕は⋯っ
君が良かったんだ。
君じゃなきゃ、駄目なんだ。
僕は、僕はずっと⋯っ
君が。
君という存在が、
頭の中を、飽和している。
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「大丈夫だよ」
「ずっとそばにいる!」
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本当は分かってるんだ。
誰のせいでもないこと。
莉犬は自分で死ぬことを決めた。
だけど僕は莉犬を苦しめてた。
実際のところ、莉犬にとって僕はどんな存在だったのかなんて分からないから。
もう、聞くこともできないから。
だから。
誰も何も悪くない。
僕たちは間違ったかもしれない。
だけどあの日、僕らは確かに正しかった。
君が最期に言った言葉。
君は、どんな思いでこの言葉を言ったのかな。
そうだ。僕らは逃げたんだ。
それはきっと、間違ってなかった。
心が死ぬ前に、莉犬はきっと心から笑えたから。
だから、僕は叫び続けるから。
_____そう、言って欲しかったんだよね。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。