好きだよ。
君が好きだよ。
ずーっとずっと、大好きだよ。
そばにいてね。
そばにいるよ。
だから。
もう、泣かないで。
君の笑顔が好き。
あったかい声が好き。
優しいところが好き。
揺れる髪も、柔らかい肌も、伏せた目も、僕を救ってくれた手も、全部好き。
周りをよく見てるところが好き。
隣にいてくれたところが好き。
ずっと隣にいてほしいくらい、好き。
だから。
きっともう、隣にはいられない俺なんか。
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「忘れていいんだよ」
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苦しい。
嫌いになんてなれるわけないのに。
ずっと好きだったんだ。
なのに。
なんで。
君はいつも、僕を救ってくれた。
僕は、まだ、何も返せてないのに。
勝手に人を救っておいて、勝手に居なくなるなんて。
君は本当に、どこまでも優しい。
だけど、優しくない僕には許せないんだ。
僕は君の後ろ姿を見てたわけじゃない。
僕は、君の隣がよかった。
ずっと、ただ、君のことだけを見てた。
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君が、 大好きだった。
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どんな言葉もいらない。
僕はただ、莉犬の隣に居たかった。
僕が欲しいのは、そんな言葉じゃない。
それが分からない莉犬じゃない。
全部、僕のための言葉だ。
莉犬の言葉で、諦めそうになる僕のための。
莉犬がハッと目を見開いた。
いつだったか思い出せないほど昔。
莉犬とした約束。
莉犬は疲れたように口角を上げた。
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「ずっと、そばにいる!」
_____約束だよ!
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莉犬がその場に崩れ落ちる。
握ったままの手は開かれない。
泣きじゃくる莉犬。
子供みたいに、感情をさらけ出して、莉犬はただ涙を流していた。
滲む世界で、僕らはひとりぼっちだった。
ずっと一緒に居たからかな。
皮肉なことに、僕は莉犬の感情が痛いくらいにわかってしまう。
だから。
_____そして、君は首を切った。
いつだったかな。君とこんな映画を観たような気がする。
あの時、僕らは感動して泣いたっけ。
白昼夢を見ているみたいだった。
目の前で起こることが全てスローモーションに見えて、霞む視界で、僕はそれでも目を逸らせなかった。
こんなの、まるで悪夢だ。
いや、夢ならどれほど良かったか。
莉犬は、いなくなった。
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次に目を開いたとき、僕は独りだった。
痛いくらいの静寂が、僕を責め続けていた。
サイレンの音が聞こえて、誰が僕たちに気づいたのだろうと頭の隅でぼんやり考える。
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気づけば僕は狭い薄暗い部屋に居て、たくさんの大人たちに囲まれていた。
僕の目は確かにそれを映しているはずなのに、人だとわかるその顔は真っ黒に塗りつぶされていた。
僕の耳は確かに言葉を受け取っているはずなのに、僕の頭にはどんな言葉も届かなかった。
たくさんの好奇の目、僕を咎める目、怯える目。
僕は、その中に君の影を探す。
君は見つからない。
君だけが、どこにもいない。
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蝉の声は止まない。
莉犬をを殺した残酷な夏は、僕までを連れ去っていく。
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まあひとまず












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!