化け狸って事自体に驚いているのではなく、人間に化けて生活している所が驚きだった
何をどうしたら覚えている人に化けれるのかはわからない、だけどなんで私にそれを言った?
急に質問が投げかけられた。まだ意味をを覚えて会話をしているだけなので、会話のキャッチボールが苦手なのだろう。
今日だけで何回驚かされているのだろうか。
狸は嬉しそうに尻尾フリフリと振りながら自慢気な顔をしている。
どこからその自信が湧いているのやら
お風呂場に向かっている私に狸はちょこちょこ付いてきた。床が汚れてしまったので、後で雑巾で拭く予定だ。
お風呂から上がり、狸を私の部屋に招き入れた瞬間狸は私の部屋を嗅ぎ回るかのように巡回をしていた。
狸の周りに突然白い煙のようなものが纏わりついたと思ったらいきなり人の影が見えて、白い煙が晴れると人の姿をしていた狸が姿を現した。
また、姿を変えて見せた
次々と姿が変わっていく狸を見ていると、見覚えのある人にも化けている気がしたが、気のせいだろう。
狸は本当にその人になりきれるのだろうか
人を真似するのは、難しい。
それぞれが個性を持っていて、心を持っていて、欲を持っている、狸は化けるだけでその人の中身を再現できる訳がない。
カバンから教科書やノートを出し勉強机に広げ、狸は不思議そうに広げたものを見ながらキラキラと目を輝かせた。
私の膝の上に狸が乗り、前足を机に乗せながら尻尾をブンブンと尻尾を振っていた。
シャーペンをクルクルとまわしながら、狸に見せると興味深そうにまじまじと見ていた。
ノートを破り、シャーペンの芯を出して尻尾を振っていた狸に渡した。
狸は嬉しそうにシャーペンを持ちながら、ノートに何かを書き始めた。
よく見ると、何かの文字が書いてある。
狸は自信満々そうに紙を渡してきた。
喋ることはできるけど、文字は書けないんだ
貰った紙を鍵付きの引き出しにしまった。
狸は膝の上から降り、嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねている。
今にも飛びそうだ……
確かに、狸は夜行性だったな……











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。