前の話
一覧へ
次の話

第2話

No.2
3
2026/08/20 01:22 更新
山本 千夏
化け狸ってこと?
狸
人間はそう言うらしいんだよ
化け狸って事自体に驚いているのではなく、人間に化けて生活している所が驚きだった
狸
覚えている人になら誰にでも化けれるんだよ
何をどうしたら覚えている人に化けれるのかはわからない、だけどなんで私にそれを言った?
狸
ちなつ、話すの苦手だっけ?
急に質問が投げかけられた。まだ意味をを覚えて会話をしているだけなので、会話のキャッチボールが苦手なのだろう。
山本 千夏
今は苦手……色々あってね
狸
そうなんだ!
それなら僕が練習台になってあげる!
今日だけで何回驚かされているのだろうか。
山本 千夏
逆にできるの?
狸
もちろんです!
狸は嬉しそうに尻尾フリフリと振りながら自慢気な顔をしている。

どこからその自信が湧いているのやら
山本 千夏
とりあえず、お風呂入ろ
山本 千夏
私もお風呂入りたいし
狸
わかった!
お風呂場に向かっている私に狸はちょこちょこ付いてきた。床が汚れてしまったので、後で雑巾で拭く予定だ。




















お風呂から上がり、狸を私の部屋に招き入れた瞬間狸は私の部屋を嗅ぎ回るかのように巡回をしていた。
山本 千夏
それでさ、狸……誰に化ける事ができるの?
狸
たくさんの人覚えてるから、たくさんかな!
狸の周りに突然白い煙のようなものが纏わりついたと思ったらいきなり人の影が見えて、白い煙が晴れると人の姿をしていた狸が姿を現した。
狸
あと、これとか
また、姿を変えて見せた
次々と姿が変わっていく狸を見ていると、見覚えのある人にも化けている気がしたが、気のせいだろう。
山本 千夏
それでさ、練習台ってどういう事なの
狸
そのままの意味ですよ!
狸
君が話したい人に僕が姿に化けて、練習をするんだよ!
狸は本当にその人になりきれるのだろうか
人を真似するのは、難しい。
それぞれが個性を持っていて、心を持っていて、欲を持っている、狸は化けるだけでその人の中身を再現できる訳がない。
狸
いつでも言ってね、ちなつ!
山本 千夏
そっか、ありがとね
カバンから教科書やノートを出し勉強机に広げ、狸は不思議そうに広げたものを見ながらキラキラと目を輝かせた。
狸
これ、なに?
私の膝の上に狸が乗り、前足を机に乗せながら尻尾をブンブンと尻尾を振っていた。
山本 千夏
(尻尾がこしょばい……)
山本 千夏
教科書とノート
このシャーペンで勉強した事をメモする物
シャーペンをクルクルとまわしながら、狸に見せると興味深そうにまじまじと見ていた。
狸
それ、使ってみたい!
山本 千夏
わかった、ちょっと待って
ノートを破り、シャーペンの芯を出して尻尾を振っていた狸に渡した。
狸
やったやった!
狸は嬉しそうにシャーペンを持ちながら、ノートに何かを書き始めた。
よく見ると、何かの文字が書いてある。
狸
見て見て!
「ちなつ」って書いたんだよ!
山本 千夏
(あはは……子供みたいな文字)
狸
これ、あげる!
狸は自信満々そうに紙を渡してきた。
喋ることはできるけど、文字は書けないんだ
山本 千夏
ありがとね
貰った紙を鍵付きの引き出しにしまった。
山本 千夏
文字教えてあげようか
狸
いいの?
山本 千夏
まぁ、うん
狸は膝の上から降り、嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねている。
今にも飛びそうだ……
狸
今から教えてほしいんだよ!
山本 千夏
今日は遅いから寝るよ
狸
そっか……人間は夜にはおやすみしちゃうんだよね
確かに、狸は夜行性だったな……
山本 千夏
明日学校お休みだから教えてあげる
狸
やったぁ!
山本 千夏
こっちに来て、ベッドの上で寝ていいから
狸
わかりました!

プリ小説オーディオドラマ