第3話

. 正確
40
2026/01/29 02:42 更新
廉の生活は、正確だった。

起きる時間、食事の時間、声をかける間隔。
すべてが一定で、狂いがない。
最初はそれが不気味だった。
でも、いつの間にか安心に変わっていた。





「おはよう」





その一言で、世界が始まる。
返事をしなくても、廉は気にしない。
代わりに、頭を軽く撫でる。



「ちゃんと起きて偉いね」



褒められる理由は分からない。
でも、胸の奥が温かくなる。

外の話をしなくなったのは、いつからだろう。

スマホも、時計も、視界から消えた。




「知らなくていいよ」
「余計な情報は、不安になるだけだから」



廉は、そう言って笑った。


反論しようとした言葉は、うまく形にならない。
考えようとすると、頭が重い。

代わりに、廉の声を聞いている方が楽だった。




「俺の声、落ち着くでしょ」




頷くと、満足そうに目を細める。


「ほら」
「もう、外なんて必要ない」


その言葉に、違和感を覚えたはずなのに、
否定する理由が見つからなかった。

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