廉の生活は、正確だった。
起きる時間、食事の時間、声をかける間隔。
すべてが一定で、狂いがない。
最初はそれが不気味だった。
でも、いつの間にか安心に変わっていた。
「おはよう」
その一言で、世界が始まる。
返事をしなくても、廉は気にしない。
代わりに、頭を軽く撫でる。
「ちゃんと起きて偉いね」
褒められる理由は分からない。
でも、胸の奥が温かくなる。
外の話をしなくなったのは、いつからだろう。
スマホも、時計も、視界から消えた。
「知らなくていいよ」
「余計な情報は、不安になるだけだから」
廉は、そう言って笑った。
反論しようとした言葉は、うまく形にならない。
考えようとすると、頭が重い。
代わりに、廉の声を聞いている方が楽だった。
「俺の声、落ち着くでしょ」
頷くと、満足そうに目を細める。
「ほら」
「もう、外なんて必要ない」
その言葉に、違和感を覚えたはずなのに、
否定する理由が見つからなかった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。