第4話

. 支配
38
2026/01/29 03:54 更新








「ねえ」













ある日、廉がいつもより近くに座った。
距離が近いことに、もう驚かない。









「もしさ」
「ここから出られるって言われたら、どうする?」









胸が、きゅっと縮む。












出たい、はずだった。
なのに、想像すると息が詰まる。















「……分からない」





そう答えた声は、思ったより小さかった。
廉は、少しだけ黙ってから言う。




「無理しなくていいよ」




その一言で、全身の力が抜けた。






「あなたは、もう十分頑張った」

「選ばなくていい場所に来ただけ」








涙が出た。

理由は分からない。

廉は何も言わず、背中を撫で続ける。









「泣いていい」
「俺がいる」







その言葉に、初めてはっきり思った。

────逆らわなくていいんだ。








怖さより、楽さが勝った瞬間だった。

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