いつものように、酒場は騒がしくなった
だが
不思議と何かが違う
そんな、喉の奥にわずかに引っかかる違和感を感じた
だが、そんな私の小さな違和感なんてただの勘違いだろう
そう、このときはそう思っていた
いや、この時から私はこう思うと、都合のいいようにしていたのだろうか
どうやら、私だけではなく、様々な人が姿を見ていないということらしい
いささか疑問になるが
どうやら、他の人は大したことに思っていないのだろう
確かによくここに来る人、というわけではなければ、そこまで違和感という違和感は感じないだろう
どうやら、神出鬼没なようで
かなり見ることは珍しい人なのだろうか
2週間も……
となると、そこまで全員が深く考えていないという理由も分かった
だが、不安や疑問は募るばかりである
消えたブルガリアさんの謎、ブルガリアさんとソ連の関わり
そして、ブルガリアさんにはどうやら仲のいい友達という友達が、この中にはほとんどいないのだろう
かろうじてブルガリアと話ができるのはユーゴスラビアさんだけのようだ
確か、彼らの言葉は語派までは同じなんだ
同じ南スラブ語派であることもある
ここから少しづつ既にこの酒場に暗雲が立ち込めるようになったのだろう
ユーゴスラビアさんはバツが悪そうにおもむろに席を立ち上がり、お店の外側に行ってしまった
ルーマニアさんは呆れ顔でハンガリーさんをまるでゴミを見るかのような目で見ている
だが、当のハンガリーはなんにも気に留めていないようだった
そのスルー能力は欲しかった


















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。