第10話

 我儘
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2026/03/05 12:40 更新




 ( ガタッッ
っん…、?

 突然、物音が耳に飛び込んでくる。

 少し瞼を上げると、天井が目に入った。

 どうやら、あのままお兄さんのベッドで寝落ちていたようだ。
ふわぁ…っ ( 欠伸
……お兄さ、?

 完全に意識が覚醒しきった頃、

 ふとお兄さんの姿が無いことを疑問に思った。
……

 そっとベッドから降りる。

 部屋は、間接照明に照らされていて薄暗い。

 付いたままになっているモニター画面。

 まるで浮かび上がるかのようなデスク周りに、

 少し近づこうとしたその時。
ぅ”……
っ?! ( 驚

 床付近から聞こえてきた小さな唸り声に、

 思わず飛び退く。

 恐る恐るデスクの足元を確認すると、

 其処には蹲ったお兄さん。
…お兄さん、、?
ぁ”……?
ぁあ、らんか… ( 目瞑

 目の前で、疲れ切ったように瞑られる紅の瞳。

 どうやら、さっきの物音は

 お兄さんが椅子から落ちる音だったらしい。
……仕事、
、?

 俺が声を発すると、

 お兄さんは応えるかのように片眉をくいっと上げた。
仕事、大変なの?
…好きだから良いんだよ

 ” 大変 ” という言葉の、否定はされなかった。

 お兄さんは身体を起こし、椅子へ座り直す。
…いつから仕事してたの?
ぁ、?
……分かんね
…そっか

 キーボードを打つ音が響く。


 付いたままだったモニター画面。

 崩れ落ちていたお兄さんの身体。

 何時からなのか分からない仕事。


 デスクの上の時計は、27時を指していた。
……ッ、
……おにーさん、
…俺、お腹減った
、、適当にキッチン漁れば、
今キッチン暗いでしょ、
……暗いのこわーい、
……はぁ、 ( 溜息
しょーがねえな ( 立上
!やった

 立ち上がったお兄さんに着いていく。

 2人で踏み入れたキッチンは、やっぱり暗かった。

 お兄さんがパチッっと電気を付け、

 その眩しさにお互い目を細める。
…んー、、 ( 漁
ぁ、パスタ麺とかあるけど
麺好きなの?
好きっつーか、、手軽やけぇ常備しとる
ふーん、
……具ねぇけど作る?
お願いしまーす、
ん、座って待っとけ
ゃ、ここにいる
はぁ、?
あっち暗いし
…駄目?
電気付けりゃ、、
…ま、いいか

 鍋を取り出し、水を入れるお兄さんを横で眺める。

 

 …暗い空間なんて、本当は全然


 怖くない慣れてる


 けど、ああでも言わないときっと、

なあ
 ( びくッ
バター醤油とめんつゆ、
どっち?
…めんつゆ、
ん、

 …まぁ、別にお腹減ったのも嘘じゃないし。

 そう思いながら、お兄さんの手捌きを観察する。
お兄さん、料理出来んだね、
…意外、
パスタぐらいは俺にも出来っから
茹でるだけだしね
うるせぇな
じゃあ料理は出来ないんだ
出来ないとは言ってない
まあ目玉焼きぐらい?
…… ( 黙
え嘘、それ以下?
……卵割れねえし ( 目逸
……
ふ”はッ ( 吹出
笑うな
ッやべ焦げた
ほらー ( 笑


 そんなことを言ってる間に、

 茹でて、めんつゆを絡めただけのパスタは出来上がった。

 少し黒くなったそれを前に、

 俺は手を合わせる。
いただきまーす、
どーぞ…
っん、意外と美味しい
意外と
そろそろ殺すぞ
ごめんって ( 苦笑

 お兄さんは、俺が食べ終わるまで俺の前に座っていた。

 その目はやっぱり疲れていて、暗かった。


 でも、俺の話にしっかり反応してくれた。

 生意気を言っても許してくれた。
はぁ、お腹いっぱーい…
そりゃ良かった

 結局、俺がもう一度寝たのは朝方で。

 お兄さんは変わらずに画面を睨んでいた。





 お兄さんの具が無い焦げたパスタは、

 昼に食べたカップラーメンの何倍も美味しかった。



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