大学へ着くと、俺はしっかり遅刻した。
教授には怒られたが、俺は後悔していないし反省もしていない。(阿呆)
…まぁ、サークルと言っても俺一人しかいないのだが。
午後。
講義も終わり、皆それぞれサークル活動やバイト、予習復習に励んでいる。
しかし俺はと言えば。
ゲーミングPC愛好サークル
空き教室に「ゲーミングPC愛好サークル」とかいう絶妙に興味のなさそうなサークルを勝手に開き活動している。
この空き教室は大学の本当に端っこにあるため、誰も来ないのがとても嬉しい。
俺にとってこの一人だけの時間が本当に至福なのだ。
スマホを取り出し、ヤチヨの曲を流しながら気分をあげる。
俺は一人でいることを良いことに、軟体生物のようなうねうねした動きをしながら小さなロッカーを開けた。
そこには、地雷系なピンクと黒のリボンやラインストーンで飾られた内装に、乃依ちゃんのグッズがずらりと並んでいるのであった。
絶対に人前では言わないであろう赤ちゃん言葉を使いながら、一つ一つの乃依ちゃんアクスタに声をかける。(キモい)
…引いているかもしれないが、これが俺の日課なのだ。
…顔が引きつってるぞ。
と、こんな感じで俺が日課をこなしていると、突然。
ガタッ
絶対に人工的な音が部屋に響く。
俺は一瞬で動きと呼吸が止まる。
「ヒュッ」と、喉が締まるのを人生で初めて体感した。
部屋にヤチヨの歌声だけが響く。
呼吸を止めると、明らかに人の気配を感じられる。
絶対に誰かいる。
俺はカチコチに固まった首をゆっくりと機械のように動かし後ろを確認しようとする。
明日からいじめられることを覚悟して、乃依ちゃんアクスタを持つ手が震える。
ちらりとアクスタを見ると、「大丈夫だよ〜」と乃依ちゃんが言っているような気がして少し心が軽くなった。
俺は勢いよく部屋の入り口を確認する。
入り口には、あきらかに俺から目を背ける男の姿があった。
「駒沢 雷」。この大学の隠れた(隠れてない)モテ男だ。
乃依ちゃん、やっぱ全然大丈夫じゃねぇよ。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。