第251話

消えない言葉
85
2026/08/10 09:00 更新
爆豪視点

後処理を隊員達に任せ、俺とあなたは水上バイクで元の海岸へ戻っていた。

空はまだ暗い。
夜凪 あなた
勝己みて、月が綺麗だね

あなたが前を見ながら、呑気に話しかけてくる。

俺は会話がまともに聞こえなかった。

さっき聞いた話が、頭から離れねぇ。

――海を守るための宗教団体。

――数年前の海が割れた事件。

――そして、その人物を今も探している。

もし本当に、あなたのことを知ったら。

あなたに何をするつもりだ。
爆豪 勝己
…そうだな
夜凪 あなた
疲れたよね。早く帰ってご飯食べよ
あなたは特に気にする様子もなく、アクセルを上げた。

水上バイクが海面を滑る。

俺は後ろから黙って水平線を見つめていた。

やがて、海岸へ戻る。

家に着いた頃には、まだ外は暗かった。

俺たちはそれぞれシャワーを浴び、遅い時間の食事を温め直した。
今日は味がしなかった。

箸を動かしながら、さっきの言葉が何度も頭の中を巡る。

『もし夜凪だと確信したら、すぐに動くはずだ』
爆豪 勝己
…。
夜凪 あなた
勝己…?大丈夫?


あなたが心配そうにこちらを見る。


夜凪 あなた
怪我したんじゃ…
爆豪 勝己
してねぇ。平気だ
夜凪 あなた
そう…?なら良いけど…


それ以上は何も言わなかった。

食器を片付ける。

外を見ると、まだ暗い。

俺たちはそのまま布団へ入った。


夜凪 あなた
疲れたね。勝己もゆっくり休んで
夜凪 あなた
今日はありがとうね
爆豪 勝己
あぁ


目を閉じる。

身体は疲れている。

今すぐ眠れそうなほどだ。

なのに――

頭の中では、あのヴィランの言葉だけが繰り返されていた。

――海を守り、管理する存在。

――数年前の事件。

――夜凪を探し続けている。

俺は隣にいて、呑気に眠るあなたを見つめた。

こいつは何も知らない。

そして今は、何も知らなくていい。

……だが。

もし、あの話が本当なら。

俺はこいつを守らなきゃならねぇ。

不安な気持ちを抱えたまま、俺は静かに目を閉じた。




プリ小説オーディオドラマ