朝日が窓から入り込み、ゆっくりと目を開ける。
目の前には1番大切な人。
これまでの事を思い出し、ふっと笑った。
本当にいろんなことがあった。
たくさん笑って。
少し泣いて。
懐かしい人たちにも会って。
そして――
私は、勝己の妻になった。
左手をそっと持ち上げる。
薬指で輝く指輪。
隣で眠る勝己も同じように身につけている指輪。
思えば、私たちの道は決して平坦じゃなかった。
雄英高校で出会った。
何度もぶつかって。
何度も笑って。
仲間と一緒に、たくさんの出来事を乗り越えた。
私自身の過去とも向き合った。
海上保安庁へ進み、海の上でたくさんの人を救った。
夢のために離れた二年間もあった。
会えない時間があって。
それでも、私たちは互いを忘れなかった。
帰ってきた私は、もう昔の私じゃなかった。
勝己も、あの頃の勝己ではなかった。
二人とも、それぞれの場所で成長していた。
だから今――
こうして同じ場所にいる。
見つめていると、ゆっくり瞼が開き紅い瞳が私を捕らえた。
私は本当に幸せと感じていた。
一番大切な人と、隣で笑い合う。
遠くから波の音が聞こえた。
私の大好きな海。
どこまでも広くて。
どこへでも繋がっていて。
時には荒れるけれど、それでも必ず静かな波が戻ってくる。
私の人生も、きっと同じなんだと思う。
これから先も、楽しいことばかりじゃない。
辛いこともあるだろう。
喧嘩する日だってあるかもしれない。
それでも――
隣にいてくれる人がいる。
帰りたいと思える場所がある。
そして、帰りを待ってくれる人がいる。
それだけで、私は前を向いていける。
そして、私の手を握る。
私はその手を握り返した。
――私たちの物語は、今日で終わる。
でも。
私たちの人生は、今日から始まる。
雄英で出会ったあの日から今日まで。
たくさんの出会いがあった。
たくさんの別れがあった。
たくさんの涙があった。
そして、それ以上にたくさん笑った。
その全てがあったから――
今の私たちがいる。
勝己は私の頬に触れ、口付けをした。
これからも勝己が隣に立つ。
そして二人で、同じ景色を見る。
これから先も。
きっと、いろんな海を渡っていく。
穏やかな日も。
荒れる日も。
それでも――
二人なら大丈夫。
私は勝己の手を握った。
勝己も、強く握り返してくれた。
手を握り、もう片方の手で私の頬を包む。
私達はお互いに笑い合い、そして再び深く口付けをした。
私たちが歩む先に何が待っているのかは、まだ分からない。
だけど――
もう怖くない。
だって私は、ひとりじゃないから。
――爆豪勝己と夜凪あなた。
二人の物語は、ここで幕を閉じる。
けれど、その先の人生は――
これからも、ずっと続いていく。
next.More.1













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。