第274話

左手の薬指
197
2026/08/14 09:00 更新
披露宴は、あっという間に終わった。

たくさんの人に祝福され、たくさん笑って、少し泣いて。

気づけば、すっかり夜になっていた。

私たちは式場近くのホテルへ向かった。

部屋に入ると、私は大きく息を吐く。
夜凪 あなた
疲れたねぇ…
爆豪 勝己
そうだな
勝己もソファに腰を下ろす。

ふと左手を見る。

そこには、今日からずっと身につける指輪。

私の左手にも、同じ指輪が光っている
夜凪 あなた
…なんかまだ実感湧かないね
爆豪 勝己
何がだ?
夜凪 あなた
結婚して夫婦になったこと
そう言って指輪を眺める。
爆豪 勝己
俺はやっとって感じだな
夜凪 あなた
ふふっ
夜凪 あなた
…ここ部屋に露天風呂付いてるんだね
爆豪 勝己
誘ってんのか?
夜凪 あなた
え?ち、違うよ!
一気に顔が熱くなる。

勝己は私の顔を見て――

ニヤッ。

楽しそうに笑った。
爆豪 勝己
なんでだ?俺たちはもう夫婦だぜ
夜凪 あなた
え、いや、そうだけどっ!
爆豪 勝己
ハハッ
爆豪 勝己
やっぱ面白ねぇなぁ
夜凪 あなた
からかわないでっ…
私は恥ずかしくなって顔を背ける。

そんな私を見て、勝己は少しだけ優しい表情になった。
爆豪 勝己
今日は疲れただろ。ゆっくりしてこい
夜凪 あなた
…うん
私は小さく頷いて、着替えを手に取った。

部屋を出る前に、もう一度左手を見る。
ゆっくりと脱衣所へ向かった。

扉が閉まる寸前に振り返った。
夜凪 あなた
…勝己
爆豪 勝己
…ん?
夜凪 あなた
…10分後なら入ってきて…いいから
爆豪 勝己
……………は?
 

私はそう言って、脱衣所の扉を閉めた。


爆豪 勝己
……ククッ







残された俺はソファに座ったまま、自分の左手を眺める。
指輪を親指で軽くなぞる。

そして小さく笑った。
爆豪 勝己
はぁ…俺…幸せもんなんだなぁ
そして俺は時計をチラッと見た。
爆豪 勝己
…ふんっ
爆豪 勝己
自分から言ったからには無しなんて言わせねぇぞ











長かった今日が、静かに終わろうとしていた……?




プリ小説オーディオドラマ